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心の悩み−「人は人のなかでしか生きられぬ」

 本紙「健康・家庭欄」で月1回「保健だより」を執筆中の養護教員・徐千夏さんから、近況を知らせるメールが届いた。「朝鮮新報の反響がとってもいいのか、講演会の依頼があとをたちません。今週末には、東京第3、2月は滋賀初級、3月は札幌での講演会です…」と。

 徐さんは現在、尼崎朝鮮初中級学校、神戸朝鮮高級学校の保健室講師として、たくさんの思春期の子どもたちと接している。昨年9月には、東京・台東でも「思春期の子どもにとって大切なこと」と題して講演。具体的で説得力のある話に、若いオモニたちが身を乗り出すようにして耳を傾けていたのが印象的だった。

 現代社会は、不況を背景にした雇用問題やストレスで家族も大きな不安を抱えている。昨年5月の統計によれば、日本では97年から11年連続で自殺者数が3万人を超える深刻な状況が続く。その中でも30代の自殺が一昨年は4850人と過去最多で、10代も増え続けている。

 また、日本の学校の不登校数は年々増加、大きな問題となっている。

 この11年の間に33万人以上が自殺したということは、例えば小田原市(人口約33万6千人)級の地方都市が忽然と消失したことを意味する。考えれば恐ろしいことではないか。しかし、この問題に本腰をあげて取り組む姿勢がこの国にはみえない。

 人は人の中でしか生きられない。心の悩みやそれぞれが抱える苦痛を分ちあい、共有するには、地域や職場、学校のあり方をもう一度見直すことも必要であろう。

 そういう意味で徐さんの活躍ぶりに期待感が高まる。(粉)

[朝鮮新報 2010.1.22]