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春・夏・秋・冬

 朝鮮側の見立てによると、延坪島砲撃事件の「黒幕」は米国だ。日本の研究者や記者との懇談でそのように解説すると怪訝な顔をされることがある。「砲撃戦は南北間で起こった」と反論を受ける

▼「朝鮮ウォッチャー」を自認する人物でも朝鮮半島の軍事的対立の詳細を把握しているとは限らない。西海上には、53年の停戦協定で双方が合意した軍事境界線がない。そして「戦闘の一時中断」を定めた協定では、延坪島をはじめとする「西海5島」を国連軍司令官の軍事統制下に置くとした。すなわち米軍が管轄するということだ。今回、そこから北側領海に向けて砲撃が行われた

▼砲撃戦当時、南は戦闘機による空爆を準備したという。それが途中で取り消された経緯が物議をかもした。青瓦台は「大統領が指示を出した後、自主的に撤回した」との情報をリークし、国防部は「連合司令部=米軍」の指令はなかったと釈明した。何を言っても説得力に欠ける。いまでも南の戦時作戦権を握っているのは米国だ

▼朝鮮戦争を「南北の衝突」として語る日本の「識者」は、今回も米国の暗躍を見過ごす傾向がある。当然ながら、対北空爆作戦を止めたホワイトハウスの判断に対して想像力を働かせることもない。局地戦から全面戦争へと拡大したかもしれない砲撃戦の真相を直視しなければ、今後の事態の推移を展望することはできない。(永)

[朝鮮新報 2010.12.17]