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春・夏・秋・冬

 落盤事故で地下に閉じ込められたチリの鉱山作業員33人が70日ぶりに全員生還したニュースが世界を賑わせた。奇跡の救出劇として感動を呼ぶ一方、資本主義をめぐる世界的な議論の火種にもなっている

▼米紙ワシントン・ポストは米、英、独、日、南朝鮮の政府や企業が技術と資金の大半を提供したことを挙げ、「チリが救出に最先端技術を駆使できたのは、世界に開かれた姿勢を示し企業家精神を支持しているからだ」と評価。「チーム・アメリカ」が起こした奇跡、新自由主義の勝利を誇った

▼1970年代、チリでは米CIAの支援によるクーデターで社会主義政権が打倒され親米軍事政権が樹立。以降、新自由主義経済政策の手本とされるほどの高度成長を遂げた。だが、経済の基盤となる鉱山業は相次いで民営化され、利権の巣窟に。利益至上主義によって安全は軽視された。今回の救出過程でそのずさんさが判明、これを引き金に安全対策や補償を求めるストが広がった

▼鉱山があるアタカマ砂漠には、領有をめぐる戦争と数多くの落盤事故の犠牲者、そしてクーデター時に虐殺された人々が埋まっているという。今回の事故で救出された現場監督の父と義父も「左派掃討」の犠牲者だ。作業員らが「自分たちは、安全に金をかけない実業家の被害者だ」と不満をぶつけるのは、こうした歴史と無縁ではない。(天)

[朝鮮新報 2010.11.8]