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春・夏・秋・冬

 物心ついた頃から見てきた光景がある。夏の夜、ウリハッキョの運動場に同胞が集う。大人たちは杯を酌み交わし、トンネの話で盛り上がる。子どもたちは仮設舞台にあがり元気に歌った

▼「夜会」の最後には歌舞団が登場し、爽快なリズムに合わせ「同胞の輪」が広がる。「統一列車」だ。前の人の肩に手を載せ一列になって走る。参加者が多いほど興奮度は増す。不思議な一体感を幾度も体験した

▼会場をグルグルまわる恒例の円周滑走は、いつ、どこで、始まったのだろうか。いまも日本各地で「列車」が走る光景に出会う。平壌で行われた統一イベントでも参加者たちが輪をつくり、ひとつになった。率先して走り出すのは、在日同胞だ。幼い頃から「踊る行列の熱気」に慣れ親しんできたのは、おそらく在日同胞だけだろう。言葉を交わさずとも「トンポの絆」を体感することができる。先人たちの知恵の結集だ。彼らはあらゆる場面で「列車」を走らせ、在日同胞社会に活力をもたらしてきた

▼時代が移り変わっても、しっかりと受け継いでいかなければならないものがある。担い手は若い世代だ。今度の日曜日、東京朝鮮中高級学校で開催される同胞青年祝典「ウリミレEXPO」では、世界最長の「列車」を走らせ、ギネス記録に挑戦するという。会場で躍動する同胞社会の未来を実感してみたい。(永)

[朝鮮新報 2010.10.29]