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昨年11月、朝鮮で実施された貨幣交換措置に関する「情報」が一人歩きしている。日本のメデイアも見てきたような話に仕立てている ▼今回の措置は貨幣流通の安定、人民生活向上などを目的にしたものだ。その効果の有無を判断するには「商品の供給状況」「国営商店の価格」など事態の推移を一定期間、見守る必要があると専門家は指摘する。最近の報道には、そのような視点が全くない。些末な出来事を恣意的に解釈し、貨幣交換は「失敗した」と早々と「断定」している ▼これらの報道の信憑性は誰も保障せず、責任を取る人もいない。メデイアの「情報源」は、南朝鮮で活動する「反北団体」だ。朝鮮を敵視する集団が「内部の消息筋」から伝えられたとする「情報」を流し、南朝鮮メデイアは伝聞を元に検証なき報道を行った。日本の新聞、テレビがそれを反復した ▼一部には今回の「失敗」による後遺症を「体制危機」に結びつける暴論も見受けられた。結果的に「反北団体」の主張に沿って朝鮮の現状が語られている。これまで幾度となく繰り返されてきたいわゆる「崩壊論」は、朝鮮に対する融和政策や積極外交にブレーキをかけ、強硬路線を後押した ▼実際には、朝鮮の国力を示威する出来事が起きている。経済の根幹を担う幾多の大型企業が再生され、外交面では米国、中国との高位級対話が続く。平和協定問題や6者会談再開をめぐる駆け引きも活発化しているが、日本はその動きに交われないでいる。国民が偏った「情報」に惑わされている間にも、朝鮮の内外政策は着実に進んでいる。(永) [朝鮮新報 2010.2.26] |