大阪朝高ラグビーの強さ 感謝の気持ち胸に |
「全国大会」で勝ち進むよりも制することが難しいと言われる高校ラグビーのメッカ、大阪府。その第1地区を大阪朝高は、98−0(茨木との準々決勝)、102−5(生野との準決勝)、53−12(常翔との決勝)と、圧倒的なスコアで勝ち上がった。 その勝因を呉英吉監督は「感謝の気持ち」だと表現した。「ウリハッキョ(朝鮮学校)、友達、そして同胞たちの支えがあってラグビーができる。同胞社会のためにプレーするという気持ちが、強い精神力を生んでいる」。 日本各地の朝高はいま「高校無償化」問題を抱え、特に大阪府内の朝鮮学校は地方自治体からの「補助金凍結」という深刻な危機にさらされている。「同胞たちのためにもがんばりたい」と話す大阪朝高選手の活躍に、同胞たちは一様に「勇気と元気をもらった」と口をそろえた。 第1地区を制したことで、「朝鮮学校のすばらしさを示すことができた」と話す呉監督は、「『全国大会』でもその存在をとどろかせたい」と誓っていた。 そんな大阪朝高にとって、今回の「花園」は借りを返す場所だ。 今年4月に行われた「第11回全国高等学校選抜大会」の決勝では、前回の「花園」覇者である東福岡高校に24−31と後一歩のところで敗れた。9月末から始まった第65回「国体」では、大阪朝高の11選手が大阪府代表として臨み、東福岡高校を主体とした福岡県代表に19−20で敗戦、涙をのんだ。「『花園』で東福岡を倒したい」と、選手たちは意気込む。 「秘密兵器」 「全国」大会に臨む大阪朝高には、まだ「秘密兵器」がいる。 4月末から開催された「サニックス2010ワールドラグビーユース交流大会」で、右足に全治7カ月の大怪我を負った主将の金寛泰選手(3年、プロップ)だ。 今大会はベンチからチームメイトの活躍を見守った。「正直、悔しさはあった」と認めながらも、仲間を信じ続けた。優勝を見届け、「全国大会」で大暴れすることをもくろんでいる。 金主将の加入によって、「フォワード陣の力強さがいっそう増す」と呉監督の信頼も厚い。 今年の大阪朝高が目指すものは「超攻撃ラグビー」だ。金主将は「フォワードからでもバックスからでもトライを決められる。60分間切れないスタミナと集中力が武器だ」と話す。 「思い切りやって、やりきって『全国』制覇したい。これまで自分たちを育ててくれた朝鮮学校や同胞社会に、優勝という形で恩返しがしたい」(金主将) いま大阪朝高が見据えているのは、初の「全国」の頂きだ。 [朝鮮新報 2010.11.22] |