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KYCカップ 埼玉が初優勝 地域のプライド賭け熱戦

 第8回KYC−CUP Over30中央サッカー大会(主催=在日本朝鮮青年商工会、後援=在日本朝鮮人蹴球協会)が10、11の両日、静岡県裾野市の時乃栖スポーツセンター裾野グラウンドで行われた。サッカーを通じて青商会会員同士の交流を図り、地域活動を活性化させることを目的に2003年から始まった同大会。今年も30歳以上の選手で構成された9チームが出場した。2日間にわたる熱戦の結果、KYC埼玉4・6が大会初優勝を果たした。

実力伯仲の好ゲーム

優勝したKYC埼玉4・6

 出場したのは、前回大会優勝の東京第5青商会サッカー部と準優勝のKYC埼玉4・6、3位の岡山ピンナラFC、伊丹高麗SC、KYC愛知、静岡、長野、千葉、北関東連合の各チーム。

 初日のグループリーグ戦では3つのグループに分かれて戦った。各グループ1位の埼玉、岡山、愛知と、各グループの2位チームの中でもっとも成績の良かった伊丹がワイルドカードとして2日目の決勝トーナメントに進出した。

 前評判の高かったチームが順当に勝ち上がったこともあり、決勝トーナメントは実力伯仲の好試合が続いた。

 準決勝第1試合の愛知対伊丹戦は後半、立て続けに2点を奪った愛知が伊丹を2−0で下した。続く第2試合は0−0で迎えたロスタイム、試合終了直前に劇的ゴールを決めた埼玉が岡山に競り勝った。

 埼玉対愛知の組み合わせとなった決勝戦は一進一退のし烈な攻防が続いた。前半10分、コーナーキックからのこぼれ球を押し込んだ埼玉が先制。後半10分過ぎにもゴール正面からのシュートが決まり、追加点を奪った。一方の愛知も幾度となく相手ゴール前に迫ったが、埼玉の堅守に阻まれ得点には至らず。結局埼玉が2−0で逃げ切った。

KYC埼玉4・6対岡山ピンナラFCの準決勝戦(白が埼玉)

 3位決定戦では伊丹が岡山を1−0で破った。

 大会MVPには、4試合を1失点に抑えた埼玉のGK金炯一選手が選ばれ、4ゴールを挙げた北関東連合のMF朴成仁選手が得点王に輝いた。

 埼玉の金哲弘主将は、「昨年のリベンジを果たすことができてうれしい。優勝したいという強い気持ちが勝因」と喜びを語った。来年の目標については、「まだ連覇を成し遂げたチームはないので、それを目指したい」と話した。

 昨年、優勝候補と言われながら2位に甘んじた埼玉。週1回の練習に加えて、地元のリーグなどで実戦も数多くこなし、チーム力強化に努めてきた。2日目に埼玉朝鮮幼稚園の運動会と日程が重なり、主力の半数が抜けるという厳しい状況に見舞われたが、選手層の厚さでカバーした。

 監督の金オクセさん(埼玉中部地域青商会会長)も、「優勝だけを目指してきた。それ以外の結果は考えていなかった」と悲願達成に感無量の様子だった。「埼玉が在日朝鮮人サッカー界に大きな足跡を残してきたという自負がある。来年以降も勝ち続けて、他チームの追随を許さない絶対王者を目指す」。

「つながり生かして」

 上位進出チーム以外の健闘も光った。

 前回まで2年連続最下位の千葉は、グループリーグでの1勝を含む2勝を挙げて6位に食い込んだ。今年、若くて実力のある部員を多く獲得し、試合経験も積んでチームの活動を強化した結果だ。

 長野は04年の第2回大会以来6年ぶりの出場で注目を集めた。「これまでも出場したい気持ちは強かったが、なかなか人が集まらず、実現できなかった。今年、朝鮮が44年ぶりにW杯に出場したことがみんなの気持ちに火をつけた」と主将の千英敏さんは話す。4戦全敗の最下位に終わったが、「今後は毎年出場して少しでも上位に行けるよう練習に励みたい」。

 また、大会には地元の静岡や近隣の愛知を中心に選手の家族も数多く応援に訪れた。初日夜の食事交流会では、チーム紹介や活動アピール、一発芸なども飛び出し、にぎやかな雰囲気に包まれた。親睦を深めた選手たちは、交流会終了後もそれぞれの部屋で地域の垣根を越えてサッカーと青商会活動について熱く語り合った。

 参加者からは、「人が集い、その輪が広がるのが青商会の強み」「サッカーをきっかけにできたつながりを生かして、それぞれの地域の活動に積極的に取り組んでいこう」といった声が聞かれた。(李相英)

【大会結果】

@KYC埼玉4・6AKYC愛知B伊丹高麗FCC岡山ピンナラSCD東京第5青商会EKYC千葉F北関東連合GSOC(shizuoka one corea)HKYC長野

[朝鮮新報 2010.10.20]