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「全国ベスト16」の東大阪中級サッカー部 周りのサポートがイレブン後押し

 既報のように、東大阪朝鮮中級学校サッカー部が「第41回全国中学校サッカー大会」(8月18〜23日、山口県)に4年ぶり4回目の出場を果たし、ベスト16となった。チームワークを重視する東大阪中級の強さの要因は、試合に出場する選手にだけあるのではない。彼らをサポートしたすべての部員、スタッフの情熱がチームを勝利に導いた。

部員全員のチームワーク 3年生の姿が発奮材料に

 今大会の選手登録は18人まで。このメンバーには16人の3年生と2人の2年生が入った。ほか10人の3年生部員は1、2年生とともにベンチの外で応援した。レギュラーの選手は試合中、「部員みんなが一つになろう」という意識を忘れることなく、競技場から聞こえてくる部員の声援に後押しされていたという。

 「明日はがんばってくれ」。孫功洙選手(中3)は寝床に着く前、同部屋だった康英賛主将にこう話していたという。東大阪朝鮮初級学校時代はレギュラーだったが、今春に左足じん帯を損傷。1週間、モチベーションが下がり続けた。しかしその後、力を一つにしようという部員たちの意気込みを目の当たりにした。

 「チーム一丸となってたたかわなければ『全国大会』では勝てない。腐っていてはだめだ」

 選手登録からもれた孫選手は、それまで後輩に任せきりだったドリンクの準備などを率先して行うようになった。どんな形であれチームのためになればという3年生の姿は、部を発奮させ、チームワークに磨きをかけた。

 「強いチームは、レギュラーを支えるスタッフ、登録されていない部員も含め全員が強く結束し、力を発揮する。ぼくもチームの1勝、ベスト16がうれしいし、チームに貢献できたという自負心を持つことができた」。レギュラーになれなかった悔しさは進学先の朝高サッカー部でぶつけるつもりだという。

後輩、学校のために 躍進支えた2人の卒業生

卒業生の梁英二さん(左)と金福天さん。チームの躍進を支えた。

 東大阪中級を2人の卒業生が支えていた。コーチとして参加した梁英二さんは大阪朝高サッカー部の選手権大会初出場時(01年)の主将。FCコリアやJFLのアルテ高崎、FC町田ゼルビアで活躍し、今春からコーチに就任した。また、医療スタッフとして5年間、東大阪中級の試合に同行しているのは、柔道整復師の国家資格を持つ金福天さんだ。同級生の梁さんと金さんは97年に「全国大会」に初出場したメンバー。金さんは当時、主将を務めた。

 この世代は、「全国大会」出場10周年を記念し、08年から毎年1月に先輩や後輩を集め「東中杯」サッカー大会を催しており、ユニフォームなどの備品を母校に贈っている。

 「教え子が後輩、学校のためにがんばってくれている。今後も母校への愛情を大切にしてくれるだろう」。2人の恩師、朴秀勇監督は教員冥利に尽きるといった表情で目を細めていた。 (李東浩)

[朝鮮新報 2010.9.1]