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「第41回全国中学校サッカー大会」 東大阪中級 ベスト16


4年ぶり4回目の出場

 「第41回全国中学校サッカー大会」(主催=日本中学校体育連盟、日本サッカー協会など)が18〜23日、山口県の防府市陸上競技場などで行われた。4年ぶり4回目の「全国大会」出場を果たした東大阪朝鮮中級学校サッカー部は、「全国」で1勝し、ベスト16入りを果たした(写真)。

 康英賛主将(中3)は大会を振り返り、「みんなが『全国』レベルの高さを実感できた。3年生をはじめ部員全員の一丸となった気持ち、山口県をはじめとする同胞、先輩たちの期待が力になった。

 ベスト8進出という『新たな歴史』を創ることができなかったが、ベスト16入りを誇りに思う」と話した。

同胞の声援の中、価値ある1勝

「全国」通算4勝目

1回戦で得点した黄尚選手

 大会には各地の地方予選を勝ち抜いた32チームが参加。392校が参加した大阪府大会を制し、大阪府代表として先日行われた近畿大会で3位となり(12チーム中上位5チームが「全国大会」出場)、「全国大会」に出場した東大阪中級サッカー部は19日、維新百年記念公園補助競技場で行われた習志野市立第1中学校(千葉)との1回戦に臨んだ。

 この日、会場には学父母のほか、総連山口県本部の李建男委員長をはじめとする山口の同胞、山口朝鮮初中級学校の生徒と、東大阪中級が冬の遠征先の宿泊地として訪れ、交流の深い九州朝鮮中高級学校サッカー部など150余人の応援団が駆けつけた。

 たくさんの声援を受けながらピッチに立った東大阪中級は緊張気味にも見えたが、序盤からパスを多用するシンプルなサッカーを展開。前半を0−0で折り返した。

 後半は本来のチームワークが攻撃に連動性を生んだ。5分、左のコーナーキックから高く上がったボールを康英賛主将(中3)が中央に頭で折り返すと、金樹澄選手(中3)が高くジャンプし、ゴール側にヘッド。これを黄尚煥選手(中3)が押し込み先制した。大歓声が会場を包み、選手たちは抱き合い喜んだ。

 東大阪中級はその後もGKの金壮奎選手(中3)をはじめDF陣が堅守。そのまま逃げ切り、「全国大会」通算4勝目(1997、2004、06年の各大会で1勝)をあげ、2回戦進出を果たした。相手校の監督は、「体の大きな選手が多く、一人ひとりのフィジカルも強い。失点の時間帯が敗因になった」と語った。

 1回戦を勝った東大阪中級は、2回戦(20日、防府市陸上競技場)で優勝候補の常葉学園橘中学校(静岡、今大会優勝チーム)と対戦。スポーツ推薦で入学した選手を多く有し、大会屈指の技術とスピードが自慢のチームを相手に、東大阪中級は100余人の同胞の声援のなか果敢に挑んだが、前後半に3点ずつ失点し、0−6で敗退した。初のベスト8進出をかけ「新しい歴史を創ろう」と臨んだ選手たちは、試合終了とともに大粒の涙を流した。

 東大阪中級の16強入りは大会出場とともにも4年ぶり4回目だった。

「1勝できてよかった」

東大阪中級を応援する同胞

 東大阪中級は「全国大会」を控え、高校やクラブチームなどレベルの高いチームと練習試合を積んできた。過去3回の大会ベスト16という伝統を受け継ぎ、その成績を超えることで、新たな伝統を創造しようと、チームは厳しい練習に取り組んできた。大会で選手たちは一生忘れることのできない思い出を心に刻んだようだ。

 同胞の期待を間近に感じたという金壮奎選手の出身地は奈良県。チームの「関門」であるゴールを守りながら、自信をつけてきた。大会出場によって奈良の同胞も喜んでいるはずだとはにかみながら、「どこへ行っても同胞同士はつながっている。将来は同胞のためになるような仕事をしたいと思った」と語った。

 「一つになったこのチームでやりきれたことがよかった」と爽やかに話したのは左サイドで活躍したMFの金洸顯選手(中3)だ。部員全員が信じあい、試合では全員攻守を実践したことで、今後の実力アップへの希望を感じた。「横にいるトンム(友だち)たちと力を合わせた。先輩を敬う気持ちなど、ウリハッキョ(朝鮮学校)の良いところを発揮した」。

 一方、部を率いて21年目の朴秀勇監督も感慨ひとしおの表情だった。

 「部員全員が朝鮮学校の選手としてのプライドを持って実力を十分に発揮してくれた。生徒たちは東大阪中級サッカー部の伝統を受け継ぎ、一体感、チームワークに磨きをかけてきた。何よりも同胞の応援は選手たちを後押ししてくれた」

 会場に詰め掛けた同胞応援団は連日、選手らのプレーに両手を高くあげ喜んだ。

 会場となった山口県では、東大阪中級生徒らを温かく迎えようと、山口県本部、山口県商工会、山口初中が合同で支援体制を整えた。県商工会の李孝光副会長は、「東大阪のウリハッキョも山口と同じように私たちの学校。1勝できてほんとうに良かった」と喜んだ。

 同胞応援団の最前線に陣取っていた九州中高サッカー部の金英権主将(中3)は、「同じ朝鮮学校の生徒として2時間をかけて応援に来たが、東大阪の選手がなんだかとてもかっこよく見えた」と話した。

 康主将のアボジである康敏浩さん(46)は、選手たち同様、学父母たちも一つになったと述べ、「初めて『全国大会』を見たが、連日応援してくれた同胞の温かみを実感した。いろんな地域に行って同胞の応援を目の当たりにする子どもたちは、ほんとうに幸せだと思った」と語った。

[朝鮮新報 2010.8.25]