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ワールドラグビーユース交流大会 初出場の大阪朝高、存在感示す

世界にはばたく朝高ラガーマン

 「サニックス2010ワールドラグビーユース交流大会」(主催=財団法人日本ラグビーフットボール協会)が4月28日から5月5日にかけて、福岡県宗像市のグローバルアリーナで開催された。11回目となる今大会には、第89回全国高校ラグビー大会でベスト4に入り初めて出場権を得た大阪朝鮮高級学校と、東福岡高校など日本の高校7チーム、フランス、ウルグアイ、南アフリカ、フィジー、ニュージーランド、南朝鮮、イングランド、オーストラリアの高校など8チームの計16チームが出場。熱戦を繰り広げた選手たちは、同じ施設で寝食をともにし交流を深めた。

歴史的な勝利

歴史的な勝利で存在感を示した大阪朝高ラグビー部(白)

 大会では、4チームずつ4プールに分かれての予選リーグと、予選リーグ1・2位チーム、3・4位チーム間での順位決定トーナメントが行われた。

 Dプールに入った大阪朝高は、トルロカレッジ(イングランド)に17−38で敗れたものの、ヒルズスポーツハイスクール(オーストラリア)に16−12、伏見工業高校(京都)に33−14で勝利した。

 Dプールでは伏見工業高校を除く3チームが2勝1敗で並んだが、大阪朝高はトライ数の差などにより予選リーグ3位となり、9〜16位決定トーナメントに進んだ。最終順位は14位だった。

 優勝は圧倒的な強さで全勝したハミルトンボーイズハイスクール(ニュージーランド)。2位トルロカレッジ、3位ヒルズスポーツハイスクール、4位マレーファルジュンハイスクール(南アフリカ)と、ラグビー先進国が上位を占めた。日本の高校王者、東福岡高校は6位だった。

「地を這うタックル」

花道を作り対戦相手を称える大阪朝高ラグビー部の選手たち

 大阪朝高は2、3位となったチームと同じプールに入りながらも2勝したことで、選抜大会準優勝チームの存在感を示した。とくに1〜8位決定トーナメントで東福岡高校を24−10で下したヒルズスポーツハイスクールに勝利した試合は、大会関係者や観客の間で話題となった。

 ロックの2人が2メートル100キロを超えるなど大柄な選手を揃えたヒルズスポーツハイスクールに対し、大阪朝高は足にからみつく低いタックルで堂々と迎え撃ち、 相手の反撃を食い止め、16−12で勝利した。朴成基選手(10番)はペナルティゴールを3本決めるなど勝利に貢献した。

 試合解説者は「地を這うようなタックルを60分間続けたことはすごい」と絶賛していた。2メートル140キロを超える相手選手も「タックルされるのが怖かった」と称えていた。

 鄭宏基選手(7番)は「正直、初めは怖かった。だが、オーストラリアの大柄な選手を止めることができて自信が付いた。次はFWリーダーとしてチームを引っ張るリーダーシップを発揮したい」と語った。

 高陽日選手(15番)は「海外の選手にも朝高のタックルが通用した。その反面、接戦になったときにミスがでてしまった」と振り返り、「福岡でも同胞が応援に駆け付けてくれて感謝している。同胞の愛情と期待に応えられるよう練習に励みたい」と語った。

 観戦した九州朝鮮中高級学校ラグビー部後援会の「成完会長(61)は、「選手の気迫あふれるプレーに力をもらった。近くで観戦していた日本人も『朝高は攻撃の引き出しが多い』と評価していた。全国2位の実力を実感した」と熱く語った。試合中、人一倍大きな声援を送っていた「栄東副会長(60)も「朝高生の活躍で同胞たちが力と勇気を得ている。全国制覇はもはや夢ではない。今後も伝統のタックルと闘志に磨きをかけてほしい」と期待を示した。

自立し強まる団結

 大阪朝高は「意思の統一」を目標に掲げ大会に臨んだ。以前は試合に負けると互いに責任を押し付け合ってもめることが多かったというが、今では金寛泰主将が中心となり自発的にミーティングを開くなど、チーム内のコミュニケーションは活発になった。

 呉英吉監督は「選手たちが自立し始めた。自分たちで話し合い、弱点や悪い部分を練習で克服しようとしている。選手たちが成長する大きなきっかけとなった。有意義で楽しい大会だった」と振り返った。

 普段、選手たちは試合が終わればそれぞれ帰路に着く。だが、今大会では試合も宿舎も同じ施設内。高校生同士、自然と交流が始まった。休み時間や試合のない日にはタッチゲームなどで遊んだりラグビーや学校生活について話し合ったりした。監督やコーチ同士の交流も盛んだった。その過程で、名門校から「強さの秘訣」を学んだ。

 貴重な体験をした大阪朝高の選手たちには自覚が芽生えたという。

 大阪から駆け付けた権裕人選手(13番)の父、権寿鉉さんは「みんなで朝高に行って花園へ」という目標を掲げ中級部時代から共に汗を流してきた子どもたちをいつも見守ってきた。「今大会で自分たちが追われる立場にいることを実感したと思う。集大成となる冬の花園を目指し、もう一段レベルアップしてほしい」と語った。

「朝高生は民族の宝」 「発祥地」福岡の同胞も絶賛

 福岡は「朝高ラグビー発祥地」とされる。それだけに、福岡同胞の大会への関心も高かった。会場には多くの同胞が駆け付けた。九州中高ラグビー部や創部50周年を機に結成された40歳以上の卒業生らによる同胞チームの関係者も朝高生の活躍を間近で楽しんだ。

 文龍秀さん(46)は「生で試合を見て力をもらった。朝高生のプレーに学ぶことも多い。大阪朝高の強さの要因は団結力にあると感じた。花園が楽しみだ」と語った。

 白秀範さん(41)は、高級部時代にたたかった大阪朝高の同級生の子どもたちが試合に出ていることを喜んだ。「夢見ることさえできなかった大会に、子どもたちが出場し活躍していることが率直にうれしい。民族教育の歴史で大きな意義がある」と語った。

 九州中高の往年の名プレーヤーたちは、大阪朝高の強さの要因として団結力とともに「民族の魂」を挙げた。

 文性理さん(57)は「同胞に力を与えようという朝高生の心意気を感じた。世界に朝高の名を轟かせた朝高生は、同胞だけでなく民族の宝。選手や監督、教員たちに感謝する」と述べた。(李泰鎬記者)

[朝鮮新報 2010.5.11]