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高校ラグビー・全国選抜大会 大阪朝高準優勝 「伝統のラグビー」で歴史的快挙

 「第11回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会」(1〜7日、熊谷ラグビー場)に出場した大阪朝鮮高級学校ラグビー部が1月の花園でのベスト4を超える「全国」2位の成績を収めた。朝鮮高級学校が団体競技の「全国大会」で決勝に進出したのは初めて。大阪朝高は決勝戦で昨年度選抜大会と選手権大会を制覇した東福岡と対戦。前半をリードして折り返したが、試合終了間際、東福岡にトライを許し24−31で惜敗した。涙を流した選手たちは、「冬の花園でのリベンジ」を誓った。

最後まで攻撃

「花園を目指す仲間同士」、健闘を称え合う大阪朝高と東福岡の選手、関係者

 2年ぶり3回目の出場となった大阪朝高は、予選リーグを3勝して勝ち上がり、準々決勝で京都成章(京都)を36−0、準決勝で流通経済大付属柏(千葉)を20−5で下した。大阪朝高は準決勝後半、反則で一人の選手が7分間退場(sin bin)となる厳しい状況に立たされたが、その選手の分まで走ろうと団結して守り抜き、決勝進出を決めた。

 雨の中行われた決勝戦。大阪朝高は試合開始1分でトライを奪われ10点をリードされたが、持ち前の固い守りでリズムを取り戻し、パスを回して反撃に出た。

 大阪朝高は前半7分、スクラムからパスで展開し金勇輝選手(12番)がトライを決めた。17分には朴成基選手(10番)がペナルティーゴールを決め同点に。28分にはラインアウトからモールで押し込み鄭宏基選手(7番)がトライを決め、前半を17−10のリードで折り返した。

 大阪朝高は後半5分にも趙誠慶選手(8番)が体を張ってトライを奪い14点差をつけた。しかし、東福岡の猛反撃を受け、24−24と追いつかれた。低いタックルで相手の攻撃を何度も跳ね返した大阪朝高だったが、ロスタイムに決勝トライを決められた。

 同点で迎えたロスタイム、ボールを外に蹴り出せば同点優勝が決まる状況だったが、グラウンドに立つ選手たちは勝利を目指す一心で果敢に攻め続けた。最後までたたかう高校生ラガーマンの勇姿は、観客に感動を与えた。

次は花園で優勝

最後まで勝利を目指し走り続けた大阪朝高の選手たち

 呉英吉監督は「選手たちには全国の朝高、同胞の代表として、そして近畿と大阪の代表としてのプライドをもって試合に臨もうと言い聞かせてきた。選手たちは体を張り、持てる力をすべて出し切った。ベストのゲームだったと言える」と選手を称えた。

 金寛泰主将(3番)は「25点以内に失点を押さえたら勝てるとメンバーに言い聞かせていたが、最後は相手が強く、力が及ばなかった」と語った。しかし、「大会を通じ一戦一戦チーム力が上がった。冬の花園を目指してまたがんばりたい」と決意を新たにした。 今大会、正確なキックと冷静な判断力で活躍した朴成基選手は、「最強の相手だったが、同じ高校生として絶対に勝てない相手ではないと感じた。また対戦したい。もっと練習を積み冬は優勝したい」と語った。

 権裕人選手(13番)は「最後、トライされたときは頭の中が真っ白になった。てっぺんは見えたが、花園で優勝するためにはこの結果に満足してはならない。高いレベルのラグビーを目指したい」と語った。

 唯一、2年生として出場した康哲明選手(14番)は、今大会で自身初めてのトライも決めた。「(相手は)体が大きくパワーもあるので、初めは正直怖かった。でもタックルが決まり自信がついた。冬はレギュラーとして出場できるよう練習に励みたい」と語った。

 金主将のアボジ、金鍾河さんは「これ以上ない良い試合をした。堂々とたたかった選手たちに、おつかれさまと言いたい。楽しみは正月にとっておく」と期待を込めた。

同胞に希望

大歓声で選手を後押しした同胞や朝高生たち

 この日スタンドでは、関東の朝高生をはじめとする同胞たちが大きな声援を送った。

 呉英吉監督は「雨と寒さの中でも多くの同胞、朝高生たちが大声援を送ってくれてうれしかった」としきりに感謝していた。選手たちも「声援が後押ししてくれた」「大阪で試合しているようで心強かった」「朝高の名を全国にアピールできた」と語った。

 金勇輝選手は「力を出し切れたので楽しかった。ぼくたちは15人でたたかっていない。各地の同胞の応援があったからだ」と語った。

 鄭宏基選手は「守りきるよりも攻め切って終わろうと意思を統一させてたたかった。スタンドにいる同胞の姿を見ると力が湧いた」と語った。

 大会は、朝鮮学校が「高校無償化」の対象から除外された直後に開催された。相手の選手が「ぼくらは共にラグビーをし、花園を目指している仲間だ」と語ったように、大会の現場には日本の高校生と切磋琢磨する朝高生の姿があった。そのさわやかでひたむきな姿は、同胞たちに勇気と希望を与えた。

 在日本朝鮮人ラグビー協会の金武正会長は「決勝進出は快挙。大変な偉業だ。府知事の学校訪問などで注目されている大阪朝高が決勝に進出したことに大きな意義を感じている」と評価した。

 全源治名誉会長は「ベスト4から準優勝へとひとつ位をあげ前進した。よくやった。朝高生の活躍は、同胞を一つにさせてくれる」と語った。

 大阪朝高ラグビー部出身の李鐘基・朝鮮大学校ラグビー部監督は「朝鮮学校の名を轟かせている朝高生の姿を見て、民族教育の素晴らしさをあらためて実感した。ハイレベルな選手をぜひ朝大に受け入れ、朝大ラグビー部を強化していきたい」と目を光らせた。(取材班)

[朝鮮新報 2010.4.9]