第21回「全国」高等学校ボクシング選抜大会 「在日同胞の想い込めた」 |
神戸朝高の王賢吾選手が銀 第21回「全国」高等学校ボクシング選抜大会兼JOCジュニアオリンピックカップが3月22〜25日、群馬県総合スポーツセンター・サブアリーナで行われた。神戸朝鮮高級学校の王賢吾選手(高2)がライトフライ級で銀メダル、東京朝鮮中高級学校の兪m(バンタム級)、朴志亨(ウェルター級)選手が銅メダルをそれぞれ獲得した。「全国」での活躍は、朝鮮高級学校を「高校無償化」制度から除外しないよう各地で運動している同胞や日本市民を勇気づけ、日本の高校生と何ら変わりない朝高生の姿をあらためて示した。
神戸朝高初の決勝進出
神戸朝高・王賢吾選手は初戦(2回戦)で前橋育英高(群馬)の本山雄一選手をRSC勝ち(2R1分24秒)で退けると、2戦目(準決勝)では巻総合高(北信越)の本間佳佑選手にポイント勝ち(10−6)した。決勝戦では昨年のインターハイと国体を制した強豪、新磯高(関東)の井上尚弥選手に2R1分15秒でRSC負けした。 長いリーチを生かしてポイントを稼ぐスタイルで、王選手は強豪を次々とリングに沈めた。「近距離でのボディーアッパーがうまい。距離のとり方も抜群だった」と準決勝の対戦相手が舌を巻くほど、技術の高さは大会関係者の注目を集めた。 王選手は決勝戦を前に、「みんなの気持ちを拳に込めて堂々とたたかいたい」とリングに上がったが、強豪の圧力に呑まれポイントを奪われた。 金潤徳監督は「アジアユース選手権3位の選手を相手に、最後まで一歩も引かずに全力を尽くした。朝鮮仕込みのアウトボクシングにさらに磨きをかけること、とりわけスピードとパワーをつけていくことが課題」と振り返った。 神戸朝高の選抜大会出場は1997年3月以来、13年ぶりで、決勝進出は初めてだ。また今回、02年インターハイ、06年国体に続いて「全国大会」3つ目のメダル獲得となった。 王選手はとくに、朝鮮での強化合宿(昨夏)を機に自信をつけた。大会中は強化合宿での練習を思い起こすため、当時撮ったDVDを見て気持ちを高めた。 「試合中も練習中も朝鮮で指導してくれた先生の顔が何度もよぎった。試合を重ねるごとに在日同胞の思いを拳に込める意義を強く感じた。朝高生が活躍すれば、朝高の名をいろんな人たちが知るようになる。これからも監督や後援会、同胞の期待に応えられるよう、練習に励んでいきたい」と王選手はさわやかに話していた。 スポーツ現場での一体感 王賢吾選手のアボジ、王永吉さん(45、神戸朝高ボクシング部後援会会長)は、「息子をここまで仕上げてくれた監督に感謝している。また、朝鮮バッシングが多い昨今、朝高生の大会出場が、同胞社会の明るい光のように見えた」と語った。 オモニの金貞美さん(45)は、「ボクシングをやるようになって何事にもしっかり取り組むようになった。 嫌いだったひじきも食べるようになった。がまん強い性格はアボジ譲り」と目を細めた。 後援会の周沿革顧問(61)は「朝高選手の気迫と闘志は同胞社会に大きな力を与えてくれた。ここ(「全国大会」の会場)には朝・日生徒同士、先生同士の交流、友情があり、違いを認め互いの存在を確かめ合う姿がある。『高校無償化』問題で騒がれているが、スポーツ現場での一体感をあらためて感じた大会だった」と語った。 また、大会に参加していた日本の関係者、監督らは、「無償化」問題と関連し、「この現場を見てもらいたい。朝高の選手、先生たちとは、日ごろから深い連携をとっている仲間同士だ。『無償化』の対象から朝鮮学校だけを除外するような差別はおかしい」などと話していた。 一方、大会にはほかにも4選手が出場した。東京朝高・兪m(バンタム級)、朴志亨(ウェルター級)の2選手はそれぞれ一勝し、3位入賞を果たした。 また、東京朝高・李炯東選手(ライトウェルター級)は初戦(2回戦)で敗退しベスト8、神戸朝高・権卓良選手(ライト級、すべて高2)はベスト16(初戦敗退)となった。 東京朝高・金尚洙監督は大会を振り返り、「気持ちで負けていなかったという点で、次の大会につながる収穫を得ることができた。『考えるボクシング』もしっかりとできていた。インターハイでは上位を狙いたい」と語った。 また、朝鮮大学校ボクシング部の朱一コーチは、「みんな日に日に上達している。ぜひ朝鮮大学校にきてもらいたい」と期待を込めて語った。(李東浩記者) [朝鮮新報 2010.3.31] |