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「平和・協同ジャーナリスト奨励賞」 野添憲治氏が受賞

本紙連載 「遺骨は叫ぶ」など2冊

 「平和・協同ジャーナリスト基金」(略称・PCJF=岩垂弘代表運営委員)の第16回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)1点、奨励賞6点などがこのほど決定。授賞式は12月4日に東京の日本青年館で行われる。

 奨励賞には、本紙文化欄に今年4月まで3年にわたって連載された作家・野添憲治さん(75)の「遺骨は叫ぶ−朝鮮人強制労働の現場から」(社会評論社)と「企業の戦争責任−中国人強制連行の現場から−」(同)の2冊が受賞した。

野添憲治さん

 日本の「韓国併合」から100年になる今年は、日本が朝鮮人強制連行を始めてから73年でもある。だが、日本と朝鮮半島の歴史問題はいまだに解決していない。また、清算しようとする動きも見せていない。日本の近現代史は、自らの都合に合わないものはすべて隠ぺい、抹消してきた。日本の近現代史を語るとき、朝鮮人の血と汗を抜きにして語れるものなどない。鉄道、道路、飛行場、港湾、ダム…。実際に歩くと、日本のいたるところに強制連行されて犠牲になった朝鮮人・中国人の遺骨が散らばっている。しかも、なぜ散らばっているのかを知らない人が多くなっている。

 一方、連行された人の家族たちは、主な働き手を奪われ、どれだけ過酷な人生を強いられただろうか。しかも、彼らがこの世に生きた証である遺骨すら、遺族の元に戻されていないのだ。野添氏は日本政府が動かないのならまず自分から動こうと、「地底からの呻き声に耳を傾けた」と自らの仕事を振り返っている。本書は、まさしく、風化しつつある歴史をコツコツと地道な作業によって蘇らせた良心の記録であると言えよう。

 奨励賞の受賞という吉報を受け、野添さんは次のようなコメントを寄せた。

「遺骨は叫ぶ」 1900円+税、TEL 03・3814・3861

 「27歳から朝鮮人・中国人強制連行の聞き書き資料を集めをしてきたが、正直に言って日本人の関心は低いものだった。日中戦争以降、大陸侵略に出征して男性が不足した日本に朝鮮人や中国人を連行してくると、炭鉱やダム工事などで強制労働をさせた。食糧不足や補導員たちの虐待、過酷な現場での事故死、病気やケガでも治療を受けさせないため、多くのケガ人や死者が出たと言われる。日本政府は敗戦後も朝鮮人連行者の調査をして発表していないので、連行者数も死者の人数もわかっていない。中国人連行者は旧外務省が調べ、連行者は約4万人、死者は約7千人としている。また、中国人の労働現場は135事業所とわかっているが、朝鮮人の場合はわかっていない。

 私は9年間かけて中国人が働いた現場135カ所を歩き、その後朝鮮人が働いた現場を40カ所ほど歩き、2冊にまとめて出版したのが今回の受賞となった。しかし、朝鮮人の働いた現場はまだ多く、調べられないまま放棄されているのも多い。受賞を機会に、これからも調査を続けていきたい」

 同基金は平和、人権擁護、協同を推進する報道に寄与したジャーナリストを顕彰し励まそうと1995年8月に元日本弁護士連合会会長の中坊公平氏、元日本生協連の中林貞男氏、慶応大学名誉教授の白井厚氏ら7人が代表設立発起人となって設立された市民団体。なお、今年の基金賞には沖縄タイムス社・長崎新聞社・神奈川新聞社合同年間企画取材班の「安保改定50年〜米軍基地の現場から」が選ばれた。奨励賞にはほかに朝日新聞長崎総局の「ナガサキノート 若手記者が聞く被爆者の物語」「祈り ナガサキノート2」(朝日新聞出版)、与那嶺路代・琉球新報ワシントン特派員の「普天間問題を巡るワシントン発の一連の報道」ら6氏が受賞した。(朴日粉)

[朝鮮新報 2010.11.24]