私の深い溜息の相棒 どうにも頭を離れない私の煙草! 故も忘れたその昔 年端もいかぬうち逝ってしまった 乙女の墓に生えた草だと 語る者もいたものよ
もやもやと目前に消え入る黒い煙 ただ燃えてなくなる焔 ああ、私の苦しいこの胸よ 私の止めどなく侘しい日々は お前の如く過ぎ去らん
(現代朝鮮文学選集14「1920年代詩選(2)」92年・文芸出版社)
キム・ソウォル(1902年〜34年)
平安北道亀城郡に生まれる。本名は金廷G。民族の悲しみと郷土的情緒にあふれた作品を数多く残した詩人。亡国の鬱憤、貧困の中悲嘆に暮れ、33歳の若さで命を絶つ。他界後に「つつじの花」「素月詩集」などの題名で多くの詩集が刊行された。(選訳・金栞花)
[朝鮮新報 2010.10.25]