第15回「李玉禮と仲間たち」ポジャギと創作人形作品展 |
神戸で1150人が観賞 暮らしを伝統美豊かに
第15回「李玉禮と仲間たち」ポジャギと創作人形作品展が9月17〜19日に兵庫県立美術館「原田の森ギャラリー本館」(神戸市灘区)で行われた。 会場には、李玉禮さんの創作人形、小物など130点とNHK文化センター大阪、神戸、京都、京阪守口、西宮のポジャギ教室の受講生85人および朝鮮半島伝統文化研究会の研究生たちのポジャギ合わせて380点、総数510点が出展された。また、3日間の会期中、同胞と日本各界の人々、外国人ら1150人が会場に足を運び、伝統美豊かなポジャギの世界を堪能した。
李玉禮さん(83)は朝鮮文化について、「朝鮮民族は古くから白色を好むので白衣民族とも呼ばれた。だから、白っぽいあわい色を好む。布から布へと織り込まれた布の重なり、ポジャギの美」だと説明する。
また、字を読めないのに手紙を開いては息子の無事を案じる老母の姿など人形たちに美しい絹の服をまとわせた作品を観た人から、「当時の貧しい農村であんなきれいな服を女性たちが着ていただろうか」という質問も。李さんが「ふるさとの女性たちがまとうことができなかった絹の服を、せめて人形たちにだけでも美しく着せてあげたかった」と語ると、来場者のなかには涙をぬぐう人もいた。 観賞した人たちは「暮らしを芸術化した点は見事」「人形の表情が豊かでそれぞれに人生や生活感があふれていて感動した」「初めてポジャギを見た。縫い目が細くてすばらしい。しかも繊細でやわらかく優しい感じが伝わった」「一針一針丁寧に縫い上げる作者たちの真心が感じられた」「平和な文化の発展、多文化共生社会の促進が期待されるよう願う」と感想を寄せた。
また、「私は今までポジャギや針仕事、創作人形などは女性が観るもので、男性は関係ないと思っていた。この展示会を通じて、自らの考えが浅はかだったと気づいた。ぜひ、この人形たちをウリハッキョの一室に常設展示してほしい」と話す人もいた。
また、同胞、日本の人々が多様な感想を残した。 「李先生の背中を見ながら、私たちも『同胞社会』をしっかり守っていかねば。『朝鮮民族の魂』が一つ一つの作品に込められていると実感した」 「今日、短い時間であったが、李先生の作品を見て、驚嘆するばかりだ。その細やかな作品がどのようにして生まれたのか、不思議に思った。一体一体の人形にそれぞれのストーリーが込められていることに感動した」 「内容的にも量的にも一段と充実した明るく華やかな感じがする見事な展示との印象を受けた。出展した作品のなかには、在日の方々だけでなく、多くの日本人が制作したものもあり、日本の朝鮮文化への関わりを大変うれしく感じた。実に圧倒される思いだった。各人形の顔の表情も豊かで生き生きとしており、楽しく観賞させてもらった。民族性に富んだ、それも農村の生活や民衆の暮らしに密着した人形の姿に感動を覚えた」【兵庫支局】 [朝鮮新報 2010.10.22] |