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〈みんなの健康Q&A〉 お茶とコーヒー−成分と効能

 Q:日常生活でよく飲まれているお茶とコーヒーは、健康にどのような影響を与えるのですか。

 A:緑茶、紅茶、ウーロン茶はいずれもツバキ科植物である茶の樹の葉を加工したものの熱水抽出物です。茶葉はポリフェノール化合物の仲間であるカテキン類を含んでいますが、これを茶葉自体が持っているポリフェノールオキシダーゼによって酸化させる発酵の仕方により色調や味わいが変わります。

 緑茶は酸化反応させないため黄緑素の緑色が保たれた不発酵茶、紅茶は十分にカテキンを酸化させきれいな赤色に変化させた発酵茶、その中間が半発酵茶のウーロン茶です。加工法にかかわらず、どの茶にもかなりの量のカテキン類とカフェインが含まれています。

 アカネ科植物であるコーヒーの木の熟した果実の外皮や果肉を取り除いた種子を焙煎・磨砕したものを熱水抽出したものがコーヒーで、やはりカフェインやカテキン類を多く含みます。

 Q:カフェインというのはどのような物質なのですか。

 A:カフェインは天然由来の有機化合物で、交感神経の活性化、すなわち興奮作用や血圧上昇作用が主な特徴です。多くの薬理作用を持つことが知られており、眠気覚ましによく利用されますが、医薬品として強心剤、風邪薬、中枢神経興奮薬などに現在も処方されています。コーヒー豆のみならず、茶葉やカカオからも抽出されます。

 Q:ポリフェノールは最近とても注目されています。

 A:有機化合物の一種ですが、ポリフェノールとして規定される構造を持つ化合物は自然界にたくさん存在するため、ポリフェノール化合物は非常に種類が多いのです。茶に多いカテキン類、コーヒーやごぼうに多いクロロゲン酸などがそうです。

 ポリフェノールは食品の渋味や苦味、あるいは食品固有の色彩や変色に深く関与していて、果物や小豆の赤色や紫色もポリフェノールによるものです。

 Q:ポリフェノールが注目されているのはなぜですか。

 A:高血圧やコレステロール代謝に良い影響を与え、動脈硬化の進展を抑制してくれて、ひいては心筋梗塞や脳卒中予防につながると考えられているからです。カカオ豆から作られる飲み物といえばココアですが、カカオは古代より不老長寿の妙薬として珍重されていたという記録があります。

 その理由として、カカオには他の食品と比較しても非常に多くのポリフェノールが含まれているからだと推測できます。カカオが血圧低下やコレステロール代謝改善作用を有していて、さらには動脈硬化の進展をもたらす「低比重リポ蛋白の酸化」を防ぐことなどがこれまで報告されています。

 Q:お茶がもたらす効果について教えてください。

 A:日本でよく飲まれる緑茶についての最近の研究によれば、緑茶摂取頻度の高い人では脳卒中の発症が抑制され、それによる死亡が少ないことが報告されてきています。その理由として、血圧やコレステロールに対する低減効果が示唆されています。

 しかし、諸研究論文の結果は一致しておらず、緑茶摂取が心臓や脳血管疾患リスクを直接的に下げるという明らかな証拠を今のところ得るには至っていません。

 Q:脂肪の吸収を抑え、飲むだけで痩せることができると宣伝されているお茶が売られています。

 A:ウーロン茶やプーアール茶などが大々的に宣伝されているようですが、茶の葉を原料とするこれらには脂肪分解酵素であるリパーゼ類はほとんど含まれません。また、それらを熱水で浸出したものに体脂肪分解を促す作用があるというような研究報告も見当たりません。

 茶葉に含まれるカテキン類がさまざまな保健効果を持つことが明らかにされていて、あえて言えばこれによる血圧や脂質代謝改善が有効なのかもしれません。だとしたら、何もこれらのお茶に限らず、緑茶でも紅茶でも効能は同じということになります。

 そもそも、何かを飲んだり食べたりすることで体重を減らそうという発想はきわめて非合理的で、危険を伴います。

 Q:コーヒーは日本でも人気の高い嗜好品となっています。どちらかといえば健康に良くないというイメージですが、実際はどうですか。

 A:コーヒーといえばすぐにカフェインのことが心配されますが、カフェインの昇圧効果はすぐに耐性ができる、すなわち作用に対して体が慣れてしまうため、コーヒー常飲者ではカフェインは日常的には血圧に大きな影響を与えません。

 さらに、コーヒーに含まれる他の交感神経刺激物質に関しても、ふだん飲まない人で一時的に血圧が少し上がることがあっても、常飲している人ではまったく血圧に影響を与えないことが報告されています。いずれにしても、コーヒーの昇圧作用は短期的かつ弱いものであり、長期的にはとくに問題はないと考えられています。

 逆に、ポリフェノールの一つであるクロロゲン酸が血圧を下げてくれるという報告もありますが、まだ断定できるものではありません。

 Q:生活習慣病あるいはガンに対するコーヒーの影響についてはどうですか。

 A:臨床統計的な研究では、コーヒーが冠動脈疾患や脳血管疾患の発症危険要因であるといえる結果は出ていません。また、ガンの発症との関連が示されたこともありません。適量のコーヒーを楽しむのは健康上問題ないと考えてよいでしょう。

 何はともあれ、香りと味わいを楽しみ、気分をゆったりできるのがお茶やコーヒーの最大の効能ではないでしょうか。(金秀樹院長、医協東日本本部会長、あさひ病院内科、東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800)

[朝鮮新報 2010.10.13]