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金剛山歌劇団創立55周年記念特別公演 多くの人たちに感動と夢を

「新たなサウンド見つけ、発信したい」

 宮城県仙台市の東京エレクトロンホール宮城で9月22日に行われた「金剛山歌劇団創立55周年記念特別公演」。当日、警備で固められた会場前には、右翼団体などが街宣車で押し寄せ騒ぎ立てるなど妨害が行われた。そうしたなかでも約1100人の観客が見守る中、同公演は成功裏に幕を下ろした。

ニーズに合わせて

オープニングを飾った打楽器演奏「ソルチャンゴとドラム」

チャンセナプ独奏「熱風」

5人舞「チャンゴの舞」

 1部で披露された「響」が同劇団基本公演の舞台に上がるのは今回が初めて。

 民族楽器の独特なリズムと音色にドラム、エレキギター、金管楽器などの西洋楽器をコラボさせ、バンドテイストの民族音楽を生み出すことによって、年々変化する同胞たちのニーズに合わせて新たなサウンドを奏でる「響」。日常的に民族音楽に慣れ親しんでいる人やそうでない人、多くの世代の人たちが楽しめるように工夫されている。

 女性奏者たちは衣装もチョゴリだけでなく、華やかなドレスに身を包み、色とりどりの照明を使うなどして演奏の効果を高めた。見せ場の部分では客席から何度も拍手と喚声が沸き、リズムに合わせ自然に身を乗り出し、手拍子をとる姿も見られた。

 「響」のリーダーを務める河英樹文芸部長は、「朝鮮語で『響』『香』『郷』『向』などの意味を持つ『ヒャン』。それを音楽で表現するために伝統にこだわるだけでなく、そこに新しいものを付け足しながら4世、5世にも親しまれる『自分たちの音楽』を作っていきたい。日本で生きる朝鮮人として、自分たちだけが持つ『オンリーワン』を見つけ出し、音楽を通して発信していく、それが私たちの使命でもある」と話した。

 2部で披露された「朝鮮舞踊の緋緞道」も根本的なものは変えないまま、今の時代に合った作品を作り出していると、男性舞踊家の劉正一さんは話す。

 「按舞家とも話し合い、時代の流れに合わせて、動作、衣装、小道具なども少しずつ変えていく。祖国から学び、在日朝鮮舞踊家たちにに伝えられてきた朝鮮舞踊の55年の歴史を、これからも愛し守り、在日朝鮮人の生きざまを表現していきたい」

いつか修学旅行へ

独舞「双扇の舞」

 今回たまたま譲り受けたチケットを持って、友人と一緒に初めて公演会場へとやってきた小野久美子さん(宮崎県在住、50代)は、「朝鮮の音楽や舞踊、民族衣装をじっくりと見るのは初めて。今日は本当に楽しかった。妨害に負けず、今日まで公演を続けてきたことが素晴らしい。これからも応援していきたい」と話した。

 福島朝鮮初中級学校民族楽器部で伽耶琴を担当する徐康実さん(中1)は、「伽耶琴を台に乗せて立ちながら演奏する姿を初めて見た。洋楽器と民族楽器のコラボはとても新鮮だった。自分も劇団の演奏家たちのように多くの人々に感動を与えられるよう、これからもっと練習を積み重ねていきたい」と述べた。

 今泉産婦人科医院の今泉英明院長は、「公演の冒頭から盛り上がってとても楽しめた。とくに木管2重奏の高音と中音の演奏が心に響いた。『大河』からは日本の人々にも朝鮮の芸術を伝えようという思いが伝わってきた。私も日朝の輪がさらに広まるよう活動していきたい。いつか仙台の日本の高校生たちが朝鮮へ修学旅行に行くことが私の夢だ」と思いを語った。(文・尹梨奈、写真・盧琴順)

[朝鮮新報 2010.9.29]