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民族楽器重奏団「民楽」 20周年記念演奏会 約500人が鑑賞

民族の音色に惜しみない拍手

合奏「民謡連曲」

ソヘグム独奏「東の海」

 民族楽器重奏団「民楽」の20周年記念演奏会が8月27日、東京・渋谷区の津田ホールで行われた。

 公演は合奏「海の歌」で幕をあげた。1曲目の演奏を終え、同重奏団の康明姫団長は「今日、こうして20周年を迎えることができたのも、団員の民族音楽を愛する熱意の賜物であり、何よりも来場者はじめ、多くの方々の協力のおかげ」だと深い謝意を表明した。

 続いて趙ソンイさんがソヘグム独奏「東の海(ウリネトンヘヌンチョッキドハジ)」を披露した。ソヘグム独奏の中でもっともポピュラーな曲の一つだが、難しい技が織り込まれたフレーズも弾きこなし、弦楽器の美しい音色を響かせた。

 洋琴2重奏により演奏された、祖国朝鮮の山河に咲く花や田畑を思い浮かべながら作られた「故郷の春」は、高度なテクニックと洋琴の特徴がふんだんに盛り込まれ、美しくも壮大な作品となった。

 他にも伽耶琴独奏「首都の夜」、伽耶琴2重奏「桔梗」、重奏「フェヤンニルリリ」、合奏「龍江キナリ」「トゥレノリ」などが披露された。

 「アンコール」の声援に応えて再度「トゥレノリ」を演奏すると、会場内には拍手が沸き起こり大成功で幕を閉じた。

世代を超えて

洋琴2重奏「故郷の春」

 今回、同重奏団のOBとして参加した、高音チョッテ奏者の白和順さんは結成当時からの団員で今回は十数年ぶりの出演となった。

 「不安と喜びがいりまじってドキドキしていた。自分たち大人が演奏する姿を見て、子どもたちも民族楽器に興味を持ってくれたらいいと思う。今日は自分の後輩、またその後輩も同じ舞台で演奏した。まるで大同窓会だ」と、世代を超えた仲間たちと共演した喜びを語った。

 この日の公演のため大阪から来た、団員でソヘグム奏者の李美香さんは、「毎日仕事をしながら子育てをする中で、練習の時間を作るのはなかなか難しい。でも民族の音楽を次の世代へと残していくためにも『民楽』の存在は重要。在日が民族音楽を愛し奏ることは素晴らしいが簡単なことではない。これからもずっと民族の音楽が引き継がれるよう自分も頑張りたい」と思いを語った。

民族音楽愛し守って

伽耶琴重奏「休息のひと時」

 当日、490席の会場に500人以上の人々が各地域から訪れ、場内は観客で溢れかえった。

 同重奏団OBでチョッテ奏者の朴潤幸さんの姉の朴根秀さん(江東区在住)は、「とてもよかった。20周年記念公演を大成功に収められたのも、団長と団員たちの惜しみない努力によるものだ。伽耶琴2重奏『トラジ』は目をつぶって聞くと、知らないはずの祖国の風景が自然と目の前に広がるようだった。これからもこの素晴らしい民族音楽を愛し守っていけるよう頑張ってほしい」と話した。

 茨城朝鮮初中高級学校民族楽器部の主将を務める黄聖順さん(高級部3年)は、「今日の公演を聴いてとても感動した。わが部は小編成ではあるが、重奏団の先輩に負けないくらい良い演奏をしたいと思ったし、たくさん刺激をもらった。将来、自分も演奏家として民族音楽を守っていけるよう今から精進したい」と、熱い思いを語った。

 康団長は公演を無事に終え、あらためて20年を振り返り、抱負を語った。

 「団員のほとんどが仕事をしているので、練習時間を組むのが大変だった。出演者の中には北海道、東北、大阪から来て参加した人もいる。心から音楽を愛しているからこそのこと。そんな団員の思いが大きな力となって、私も20年間支えられてきた。これからも、『民楽』独自の色を守りながらより多くの人たちに理解してもらい、その中で在日同胞の権利をアピールできるよう日本、世界を舞台に活動の幅を広げていきたい」(文・尹梨奈、写真・文光善)

[朝鮮新報 2010.9.3]