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台東女性セミナー「魅惑の朝鮮語」 翻訳家・米津篤八さんが講演

隣国への関心、翻訳の道へ

 東京・上野の総連台東支部ホールで10日、「台東女性セミナー・魅惑の朝鮮語」(主催=女性同盟台東支部)が開かれ、32人の同胞女性たちが参加した(写真)。

 講師を務めたのは翻訳家で朝鮮人人道支援ネットワーク(ハンクネット・ジャパン)共同代表の米津篤八さん。「コレアン・ドライバーは、パリで眠らない」(みすず書房)、「チャングム」「ファン・ジニ」(早川書房)、「朱蒙」「ファン・ジニ」(翻訳名=柳京一)、「夫、金大中とともに」(朝日新聞出版)など多数の翻訳を手がけてきた。

 米津さんは朝鮮語を学び始めたきっかけを大学3年時、1980年の5月に光州で起きた民衆抗争にあると語り、81年から短波ラジオで平壌放送を聞いたり朝鮮語の新聞を読んだり、また街中の看板をすべて朝鮮語に訳すなどして言葉を学んだ経験を述べた。

 翻訳を始めたのは、日本に「韓流」ブームが到来する前。数々の翻訳を手がける中、特に印象深かったのが、北(洪錫中作、朝日新聞出版刊)と南(キム・タクファン作、早川書房刊)で出版された「ファン・ジニ」の翻訳をしたことだと話した。

 「北の『ファン・ジニ』は、彼女にまつわる伝統的な逸話を元に描かれた小説で、支配層の偽善を痛烈に暴いている。作者は朝鮮の文豪・洪命熹の孫で、祖父が著した歴史大河小説『林巨正』に登場する朝鮮語独特の言い回しが生かされていて興味深かった。南の作品は、ドラマの原作だが、ドラマ化に当たって主人公が舞踊を極める女性に脚色されているが、原作では学問を志す女性として描かれている。昔の漢詩や時調(朝鮮固有の定型詩)が多数取り上げられており、翻訳に苦心した」と語った。

 会場からは、「時調など、難しい言葉を訳すにあたって参考にしている資料を教えてほしい」など、朝鮮語や朝鮮問題についてたくさんの質問が寄せられた。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2010.7.14]