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ひだり足で降りようか、みぎ足で降りようか−崔泳進−

果てしなく広がる
きれいなきれいな夢の中
オモニ祖国は
だんだんと近づいてくるのに

みんな言葉もなく、けれど
約束でもしたように
同じ事を考えていました
「万景峰」号に身を乗せながら

宝物みたいな祖国の地に
降り立つその瞬間に
ひだり足から降りようか、
みぎ足から降りようか、

主席の配慮で訪れた
初めての私の祖国
限りないその愛が
どんどん胸に染みこんでいくようで

試練や困難
勇敢に乗り越え
祖国に暮らす人々が
大切に大切に育ててきた
宝物みたいな土地だから

ありがたい私の祖国に
はじめての挨拶をする
いつまでもいつまでも忘れられない
感激の波満ちるこの岸辺に

ひだり足で降りようか、
みぎ足で降りようか、
その答えを私たちはまだ
探せないまま

あぁ、見渡せばゆらゆらと
潤む目に映る祖国の山川
ひだり足でもありませんでした
みぎ足でもありませんでした

涙が先に
祖国の地に降りました

(朝鮮新報、1982年9月1日付に掲載)

 チェ・ヨンジン(1954〜)

 詩人。兵庫県生まれ。朝鮮大学校文学部(当時)卒業後、神戸朝鮮高級学校などで教鞭をとりながら、主に児童詩を数多く世に出した。詩集に「紙舟」(78)、「はい!」(84)がある。この詩は87年12月31日、祖国の新年公演に出演した在日朝鮮学生の演目「手紙」の元となった作品であり、その舞台は祖国の人々にも大きな感動を与えた。(選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2010.6.28]