中塚明氏ら 東京で講演 「日本と朝鮮半島の交わり、その古代と現代」 |
「日本と朝鮮半島の交わり、その古代と現代」と題する講演会が12日、東京・千代田区の中央大学駿河台記念館で行われた(主催=中央大学コリア同窓会)。 講演会ではまず、「近代における日本と朝鮮半島・『韓国併合』を考える」とのテーマで中塚明・奈良女子大学名誉教授が講演した。 同氏は、「とくに近代になって、日本は朝鮮になにをして、その結果、朝鮮ではどういうことが起こったのか、それは日本人にとってどういう意味を持っていたのか、そういう、いま私たちが生きている時代に直接つながる問題が、ほとんど日本人の頭から抜け落ちてしまっている」と指摘。その原因の一つとして日本の中学校や高校での歴史教育がきちんとなされていないことを挙げ、朝鮮についての日本人の知識が非常に貧しいものであると述べた。 またそれは、敗戦から65年経っても変わらないと強調したうえで、「知らないから朝鮮についてなにも意見を持っていないかというとそうではなくて、朝鮮に対するかたよった『知識』や『偏見』を持っている人が多い」と指摘した。 さらに同氏は、母国語を子どもたちに教え民族的アイデンティティーを守る拠点である朝鮮学校を、「高校無償化」から除外している日本政府の差別政策について、「かつて朝鮮を植民地にして、民族的自主性を踏みにじったそのやり方は、全く変わらない」と厳しく批判した。 また、司馬遼太郎の長編「坂の上の雲」をドラマ化し、「韓国併合」と密接不可分の日清・日露戦争を、近代日本の「最も輝かしい青春時代として放送しているNHKの社会的責任の重さ」についても言及した。 続いて、本紙文化欄で「渡来文化−その美と造形」を連載中の歴史研究者・朴鐘鳴氏が「古代における日本と朝鮮半島・渡来人の意味」について講演した。 同氏は古代の朝・日関係において、朝鮮半島からの渡来の文化がいかに大きな意義を担ったかを各時代相の随所にみいだすことができると具体的に指摘した。(朴日粉記者) [朝鮮新報 2010.6.21] |