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〈徐千夏先生の保健だより-6月-〉 保健室設置して心のケアを

 先日、大変うれしい知らせを受け取りました。広島時代の友人が教員を一時休職して、養護教諭の免許を取得したというのです。しかも、3人の子どもを育てながら、コツコツ勉強に励み、夢をかなえたことに感激しました。とても誇らしく、うれしく思いました。

 高校時代、机を並べて一緒に学んだ友人は私と同じ職に就き、同じ資格を取って今、四国の日本学校でアルバイトをしているそうです。第一希望は四国のウリハッキョでの活動を望んでいるのですが、現状はなかなか厳しいようです。

 志まで同じだなんて、本当に心強く思います。紆余曲折はあったものの、四国のウリハッキョの校長や学父母の理解を得て、今は同校にも保健室を設置し、少しずつ備品をそろえているそうです。財政状況が厳しいので、ボランティアとして午前中はハッキョに携わり、子どもたちの心のケアをしているそうです。

 同じ仲間が増えたという喜びと同時に、どこのハッキョでも保健室や養護教諭のニーズがあるのだとあらためて痛感しました。生徒数に関わらず、その環境なりにいろいろな問題があるものなんですね。

 彼女とは最近、ひんぱんに連絡を取り合い、意見・情報交換したり、毎回話題は尽きません。

 彼女以外にも全国で出会った方たちから、「私も養護教諭の資格をとりたいのですが、どうしたらいいのでしょうか?」「養護教諭の資格をとって、ウリハッキョのために何かしたいと思うのですが…」という、相談が来ます。

 現役の看護師さんや医療系の学生たち、あるいはウリハッキョの教員たちのなかに希望者が多いように感じています。これからもっとニーズが高まってくると思うが、養護教諭資格を持った方がたくさんいれば、心強いし何より子どもたちにとって過ごしやすい環境を提供できると思います。

 さて、私のかけ持ちしているウリハッキョの子どもたちは5月病にかかることなく、毎日忙しい日々を過ごしています。

 一方では、運動会の練習に明け暮れ、他方で中間テストに追われ、ボーっとしている暇はないようです。考えてみると、ヒマができないほど忙しさに追われている方がちょうどいいのかもしれません。なにしろ無駄な考えをする時間がなくなるし、悩んでいる場合でもなくなる。ストレスの溜めすぎはよくありませんが、適度なストレスは人間、常に必要なんです。「最近、うちの子忙しすぎてかわいそう」というくらいがいいのでは?

 実際、10分間の休憩時間でも、子どもたちはギリギリまで、遊んで帰ります。

 「あと2分しかないよ」「急いで!」と互いにせかしながらでも、パズルを完成させたり、「1分しかないけど、このページだけ読んでいく」…といった感じです。たったの10分ですが、子どもたちは、時間を上手に使いながら休憩していきます。

 逆にソンセンニム(先生)たちが大変そうです。忙しく目の回る4月も過ぎて、いろいろなプレッシャーや期待に応えないといけないし、今、家庭訪問期間真っただ中ですものね。

 日々、子どもたちのために、何が最善なのか、何がいけないのかの是非を問い、迷い悩みながら教壇に立つ先生方の熱意には頭が下がる思いです。

 よく日本学校の先生たちがウリハッキョを訪問したあと、必ずといっていいほど「子どもたちが輝いている」「生き生きしている」「あいさつがすがすがしい」との感想を述べれられます。その源は、実は子どもたちを教える先生たちの生き生きした姿が反映されているのかもしれません。

 今度、ハッキョで先生たちに出会ったら労いの言葉をかけてください。その一言が子どもたちの成長や表情に反映されると思います。

[朝鮮新報 2010.6.16]