いつだったか私が 海辺に行って 貝をひろった事がありました あなたは私のチマの裾を 持ち上げてくれたのです 砂で汚れるからと 家に戻ると私を 小さな赤ちゃんみたいだと言いました 貝なんかひろって遊んでいると そう言って出かけたかと思うと ダイヤを買って来てくれました、あなたが−
私はそのとき 貝の中に真珠を見つけ あなたの軽い財布の中に そっと入れておきました あなたがどこかで その真珠で 少しでも 或る人を助けられればと
※チマ=民族衣装チマ・チョゴリのスカート部分。
(「韓國現代詩文学大系2韓龍雲」1981、 知識産業社)
ハン・リョンウン(1879〜1944)
独立運動家・僧侶・植民地時代を代表する詩人。彼の詩は、若者には恋愛の詩として、宗教人には救援の言葉として、そして国を奪われた民には民族解放の念願を伝える暗号として、多様な解釈の可能性を含んでいる。(選訳・金栞花)
[朝鮮新報 2010.6.14]