東京・府中「アンニョンハセヨ初級ハングル講座」 7年目 地道な交流続く |
「10習って1覚えるつもりで」 「アンニョンハセヨ初級ハングル講座」が5月26日、東京・府中市のルミエール府中・講習会議室で行われた(主催=チマ・チョゴリ友の会)。今年の3月10日〜5月26日、全11回行われた同講座は、今年で7年目になる。
和気あいあいの中で
午後6時半、講師が入ってくると45人の受講生たちが「アンニョンハセヨ」と、いっせいに元気よくあいさつを返した。授業開始前から教室内は活気がみなぎっていた。 このハングル教室の講師は、朝鮮大学校の学生が3代にわたって務めてきた。初代講師の崔梨奈さん、2代目の高琴美さんに続き3代目である金さんが今期の講師だ。 毎回始まりの30分は前の授業の復習をする。母音、子音、母音・子音が合わさった単語、パッチム(朝鮮語で一音節末にくる子音)がつく単語などを、フラッシュカード、ポスターを使って発音の仕方や単語の意味を復習する。 復習が終わると、指定の教科書と授業中に配布される教材プリントを使いながら早口言葉の練習。3、33、333と3の数字を一桁ずつ増やしながら千万の桁まで声に出して発音していく。「3という数字は朝鮮語で発音する際、『ん』と同時に唇を閉じ合わせるのが発音のポイントですよ」と、発音がむずかしくて頭をかしげる受講生にも講師が丁寧に指導する。 次に、時間、曜日など固有数字の数え方を習う。ただ発音するだけでなく、その仕組みや発音方法などについても細かい指摘が続いた。 10分間の休憩をはさみ7時40分から授業が再スタート。 後半では基本対話の練習。テーマは「夫婦げんか」と「おやすみ」。受講生の中には、「ルビがないとまだ読めない」と半分あきらめた口調の人も。それでも10分間2人1組になって発音を確認したり必死にメモをとったりと、習得に熱を上げる。 和気あいあいとした雰囲気の授業の最後は朝鮮民謡「アリラン」を習った。「アリラン」と日本の歌「赤とんぼ」は曲想が似ている。教室を半分に分けて2曲を同時に朝鮮語と日本語で歌うと、朝鮮と日本の民謡が教室に美しく響き渡った。そして2時間の講座が終了した。 講座の後、学ぶ喜びに満ちた受講生たちに感想を聞いてみた。 文化交流で理解深める
府中市に住んでいる清水知子さんは広告を見てこの会があることを知り、応募した。「授業が楽しく、テレビでハングル講座を見るよりも、実際に受けたほうがわかりやすいのでとても満足している。現在、英語を日本語に翻訳する仕事をしているが、いずれハングルもマスターし話せるようになりたい」と意気込みを語った。 府中市の森京子さんは「言葉だけでなく、朝鮮の文化や料理を習えるのでとても楽しかった。教室で習った料理を家で作ってみたりもした。ハングルの習得は思ったより難しかったが、10習って1を覚えるつもりで地道に頑張りたい」と話した。 同じく府中市の中前由美子さんは、「現在の日朝関係を考えるととても悲しい。しかし、朝鮮の文化にふれ朝鮮の人とも仲良くなれる、こういう場が少しずつ増えていけばいいと思う」と語った。 講師の金さんは「はじめは教材がなかったので、資料を集めることから始めた。授業の準備をするのが一苦労だった。しかし自分自身習うことが多く、いい機会をもらえとても感謝している。朝・日両国が緊張関係にあり、私たち在日朝鮮人に対してよくない印象を持つ日本の人々もいるが、日本の人たちと積極的に触れあうことでそのイメージを崩していき、もっと両国の草の根交流を深めていけるよう努力したい」と語った。 同会の責任者である、「チマ・チョゴリ友の会」の松野哲二代表は、「『高校無償化』問題をはじめ、日本人が朝鮮人を差別し、バッシングをすることは同じ日本人として恥ずかしい。そういった社会状況のなかで、文化の素晴らしさを知ることによって、自然に朝鮮に対して親しみを持っていければいいと思う。そして、より多くの日朝の人々が交流を持ち、理解しあっていく場を増やしていけるよう、さらに活動を広げていきたい」と語った。 毎年、全11回のうちの5回目には朝鮮料理教室が開かれている。4月7日に開かれた料理教室のメニューはチャプチェ(朝鮮の春雨料理)とミヨックッ(わかめスープ)だった。(尹梨奈記者) [朝鮮新報 2010.6.11] |