母は 涙で 真珠をつくります
その まぁるい光沢の種を 息子たちの胸に 埋めてあげるのです
種は 息子たちの胸の中で はちきれそうな誇り、 潤む恋しさ、 時には 胸を刺す痛みへと育ち ようやく眩い 真珠となるのです 太陽となるのです
黒き手よ、 暗黒が光を追いやるように 眩しい太陽を 光の失せた真珠へと、 真珠をふたたび 疼く涙へと、 涙をもはや ただの水へと変えてしまう 黒き手よ、消え失せなさい
母は 今日も 暗闇の中で 静かに 涙で 真珠をつくります
鄭漢模詩集「夜明け」(1975年・一志社)
チョン・ハンモ(1923〜91)
忠清南道扶余生まれ。詩人・国文学者。号は「一芽」。ソウル大学国文科及び大学院卒業。45年に同人誌「白脈」にて「帰郷詩篇」を発表し登壇。6冊の詩集を世に出した。韓国文人協会理事など歴任。
(選訳・金栞花)
[朝鮮新報 2010.5.24]