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「変幻自在、動と静のリズム」 鳴りやまぬ拍手、客席と一つに

金剛山歌劇団創立55周年記念特別公演「朝鮮舞踊の緋緞道(シルクロード)」

 6日、新緑の森に囲まれた東京・上野の東京文化会館大ホールは、開場の一時間前からたくさんの観覧者がつめかけるなど熱気にあふれていた。

期待感でいっぱい

農楽舞〈アリラン〉

群舞〈春香伝〉

独舞〈荒波を越えて〉(左)、群舞〈高麗三神仏の舞〉

群舞〈小長鼓の舞〉(任秋子民族舞踊団)

 その中には部活のメンバーと一緒に来たという神奈川朝鮮中高級学校中級部3年生で舞踊部の李怜美さんの姿もあった。「とても楽しみだ。金剛山歌劇団の公演を見るといつも釘づけになってしまう。

 私にとって憧れの存在。たくさんのことを学べたらいいと思う。また、日本で、朝鮮舞踊一筋の道を歩んでこられた任秋子先生が指導する民族舞踊団の演目も楽しみの一つ」と期待に胸を膨らませていた。

 また、八王子から来たという金順伊さんは「高校まで朝鮮学校に通っていたので、こういった公演を見ると当時の記憶がよみがえり懐かしい気持ちになる。

 金剛山歌劇団と東京シティ・フィルとの共演も楽しみにしている。一流といわれる同楽団が朝鮮の民族音楽、とくにチャンダンのリズムをどう奏でるのか、実に楽しみだ」と語っていた。

 公演はそうした観客との一体感で最高に盛り上がった。フィナーレの農楽舞「アリラン」ではみなが手拍子をうち、キャノン砲が打ち上げられるなど、会場は一つとなって熱気にあふれていた。

 客席で舞台を楽しんでいたキューバ共和国大使館のアンドレス・ゴンサレス・バジェステル参事官は「大変素晴らしかった。今回はじめて朝鮮の民族衣装や踊りを見たが、民族の伝統を生かした動きや振り付けがとても美しかった。ラテンアメリカでは朝鮮舞踊についてほとんど知らない人が多い。

 今日みたいな公演を世界各国でやってほしい。東京シティ・フィルとのコラボ演奏も民族楽器と洋楽器の調和がとれ、朝鮮舞踊を華やかに演出していた。互いに異なる国や民族が交流する際に文化は大きな力を発揮する。農楽舞『アリラン』の軽快なリズムは、人々の幸せや喜びが表現されていて一番楽しめた」と興奮しながら語った。

「アリラン」が一番

群舞〈大河〉

群舞〈月明かりに戯れて〉

 今回、孫娘の文聖華さんが同劇団に入団したので、その晴れ姿を観るために大阪からやってきた李八重子さんは、「春香伝がとくによかった。昔も今も変わらない朝鮮民族の正義を尊ぶ姿があった。はじめは孫が劇団に入るのは反対だった。

 しかし本人の強い意志を尊重し、東京へと送り出した。2カ月ぶりに孫の舞踊をみたが、見違えるように成長していてびっくりした。これからも練習に励んで頑張ってほしい」と誇らしげに語った。

また、南の記者である朴哲鉉さんは、北から学び、在日芸術家たちが長年にわたって育てあげた朝鮮舞踊のすばらしさにすっかり魅了されたと語った。

 「なぜ、こんなにも惹きつけられるのか。静かなイメージ、大胆で律動感あふれる動のイメージ、変幻自在な舞踊が、人の感性を引きつけるのかも知れない。とくに感動したのは群舞『春香伝』。長い有名な物語を圧縮して、しかも、そのテーマを変えることなく、魅力的なラブストーリーに仕上げてみせた。

 貧富や身分の差を乗り越えて、人が真実の愛を貫くというテーマは、大国の横暴をはね返して統一を成し遂げなければならないという朝鮮民族の気概を示したもので、自然に泣けてきた」と朴さんは目頭を押さえた。

 そして、舞踊家たちの流れるような手の動きと衣装のシンプルで清潔な美しさが印象的だったと話した。(梨)

[朝鮮新報 2010.5.10]