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「幸せな音楽空間」の共有 東京シティ・フィル奏者たち

心打たれる研鑽

 クラリネット奏者の伊藤裕悦さん(57)は、3年連続となった金剛山歌劇団との共演について、こう語った。

 「今から30年ほど前、指揮者の金洪才さんが東京シティ・フィルでタクトを振っていたとき、金剛山歌劇団と共演したことがあった。そのときは、今のように歌劇団の奏者たちはうまいとはいえなかった。ところが、現在の彼らのテクニックは掛け値なしにうまい。本当にその水準の高さに驚かされる。チャンセナプ、高音チョッテなど民族楽器の演奏ののりのよさがとても楽しく、心地よい」

 伊藤さんは、異国・日本で生まれ、育った歌劇団の奏者たちが、人知れぬ研鑽を積み、苦労をいとわず音楽に打ち込む姿に、同じ音楽家として心打たれると述べた。

 「何回も共演すると、みなさんのキャラクターのよさに感動する。互いに顔なじみになって、朝鮮のリズムにもだんだん慣れて、同じ音楽空間を共有できる、こんなに幸せなことはない。これからもこんな試みをどんどんやっていければいい」

 オーケストラピットから、舞台をときどき見ることができたという伊藤さんは、「美しい舞踊家たちの洗練された踊りもよかったが、元気いっぱい、はち切れんばかりの子どもたちの群舞に、健やかに成長する様子が表現されていた」と目を細めた。

コラボの楽しさ

 バイオリン奏者の浜田慶子さん(39)は、「今回は3回目のコラボ演奏なので、経験を積み重ねた分だけ、朝鮮の音楽がわかってきたような気がする」と微笑んだ。普段はクラシックや映画音楽などを演奏する機会が多いので、民族楽器の奏者たちと一緒に演奏する過程で学ぶことが多いと話す浜田さん。

 「朝鮮の音楽はクラッシック音楽とは違うところもあれば、どこか似たところもある。『春香伝』のような作品は、日本にはあまり見られないとても情熱的な部分があり、表現するのに気を使った。『絹糸を紡ぐ乙女たち』や『チェンガンの舞』などは躍動感と悠久なテンポが混ざり合って、とても楽しかった」と、同劇団とのコラボ演奏の楽しさを語った。

[朝鮮新報 2010.5.10]