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〈本の紹介〉 三一集会記録集「植民地支配責任を問う」

80年代生まれの危機意識

 昨年3月1日に大阪市東淀川区の飛鳥人権文化センターで、朝鮮独立の3.1運動90年を記念した集会を企画し、映画「アリラン」上映会と講演会を開催した。本誌は集会の記録集。

 この1年の間、日本政府による朝鮮に対する制裁実施、入管法・入管特例法の改悪、朝鮮学校に対する「高校無償化」問題を利用した新しい差別政策、南当局による朝鮮籍在日同胞に対する旅行証明書発給拒否などの問題が起こり、植民地支配の矛盾の連鎖にいっそうの拍車をかけている。従来型の朝鮮敵視という状況のみならず、朝鮮=攻撃すべき敵という危機的な状況を生みだしている。

 本冊子はこうした危機意識にもとづいて、いまの日本の反朝鮮感情の生産は、国家の次元ではなく、メディア、市民社会の次元においてもむき出しになっていると指摘し、次のように分析する。

 「政治的・経済的な圧迫によって、在日朝鮮人を民族教育の場から追い出し、民族的に生きることをますます困難にさせている」

 「表面的に見やすい場だけでなく、私たちの生活の現場をじりじりと包囲しようとしている」

 こうした鋭い時代認識に立って、企画を進めたのは京阪神地域で同胞コミュニティの繋がりを築く1980年代生まれの世代。

 冊子の主な内容は「朝鮮民衆運動の歴史−抗日の政治文化」(愼蒼宇)「朝・日国交正常化と植民地支配」(鄭榮桓)ほか。

 単なる歴史の問題ではない、日本に植民地支配責任を根源的に問うための理論的・実践的な資料集となっている。(三一集会実行委員会編、500円)(粉)

※問い合わせ=arirang418@gmail.com

[朝鮮新報 2010.4.16]