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東京 城南トンポコンサート「郷春」 民族色あふれた魅惑の舞台

パワフルな未来図描く

 城南トンポコンサート「郷春」(主催=同公演実行委員会)が3月23日、東京・大井町のきゅりあん・小ホールで催された。総連中央の南昇祐副議長と金尚一民族圏委員会副委員長、総連東京都本部の朴昌吉委員長、朴潤基副委員長(総連城南支部委員長)、実行委員長の崔世鎭城南商工会会長、武井雅昭港区長をはじめとする同胞や日本市民ら350余人が公演を観覧した。

4世代の合唱

合唱「アリランメドレー」(城南4世代同胞)

民族楽器合奏「渓谷」

「トロンボーン」独奏「カンソンの夕陽」(リ・グァノ)(左)、カヤグム独奏「舟歌」(金オル)

舞踊「農楽舞」(東京第6初級高学年)

 故郷への想いと春の訪れを届けた公演の1部では、チャンゴ合奏「チャンダンのひびき」(城南女性チャンゴサークル)や舞踊「農楽舞」(東京朝鮮第6初級学校高学年)、重唱「2012年に向かって」(城南青年ノレサークル)、トロンボーン独奏「カンソンの夕陽」(リ・グァノ)、重唱「僕たちの心はひとつ」(東京第6初級男子コーラス部)、合唱「アリランメドレー」(城南4世代同胞、指揮=金学権)などが披露された。

 つづく2部には、城南地域出身のアーティストたちが出演。ソヘグム2重奏「ひばり」(河明樹、尹慧瓊)、カヤグム独奏「船歌」(金オル)、チャンセナプとピアノ合奏「風笛−かざぶえ」(崔栄徳、宋由香)、シャンソン独唱「鳳仙花」(朴聖姫)、民族楽器合奏「渓谷」などが舞台を飾った。

 民族色あふれる公演に観客たちは、ともに歌い、エールと、惜しみない拍手を送った。

 公演を観覧した木村洋子目黒区議会監査委員は、「カヤグム独奏がとても良かった。音色がすばらしく聞き応えがあった。チマ・チョゴリも華やかな色使いで目でも楽しめた。また、合唱の曲が懐かしい歌だったのか、ご年配の観客の方々が拍手をしながら喜んでいる姿が印象的だった。このような芸術公演を重ねることは大切。もっとみなさんとのコミュニケーションの輪が広がっていけば」と話した。

 上杉裕之世田谷区議会議員は、「支部単位でこうした華やかなコンサートを開催できること自体、とてもすばらしいことだと思う。戦後、何十年もの困難な状況下で、何世代にも渡り民族文化を受け継ぎ発展させてきたことに尊敬の意を表する。自国の文化を愛してこそ、他国の文化も大切にできると思う。とくに4世代の合唱は心に響いた。日本人ではあまり考えつかないことなので、うらやましくもあった。プロの方々のみならず、地元の愛好家たちが出演した1部も十分に楽しめた。今、総連渋世支部の方にジュニアオーケストラと朝鮮学校の子どもたちとの共演を呼びかけている。地域の中で互いに理解を深め合いたい」と語った。

 金載鉉さん(54、品川区居住)は、会場で販売されていたアーティストたちのCDを片手に感想を語った。「息子たちが出演するので駆けつけたが、期待以上の公演だった。4世代の合唱は、非常に感動した。また、日本や世界を舞台に活躍している在日のプロアーティストがこんなにたくさんいることが喜ばしかった。これからもっとこのようなコンサートを催してほしい」。

若い世代中心に

重唱「2012年に向って」(城南青年ノレサークル)

ソヘグム2重奏「ひばり」(河明樹、尹慧瓊)

 大盛況を収めた「郷春」は、実行委のみならず城南地域の多くの同胞たちがひとつになり、創りあげた手作りコンサートだった。

 品川、目黒、港3区を網羅する城南支部。地域の特性を活かし、同胞ネットワークを広げるにはどうすればよいか、魅力のある支部とは何か…と模索してきた。そして、「芸術好きの同胞が多い」ことを活かし、コンサートを企画。昨年の9月に実行委が発足、公演に向け奔走してきた。

 まずは、「芸術家」という素材をそろえた。実行委員たちが同地域出身の同胞アーティストたち一人ひとりと会い、企画の趣旨を伝え出演を依頼した。彼らはコンセプトに共感し、手弁当での出演を快諾。

 また、民族と民族教育のすばらしさをを最大限に活かし伝えようと、演目を民族楽器や農楽、民謡などで構成。民族教育を受け育ったアーティストをはじめ、東京第6初級の生徒たちをともに舞台にあげた。

 準備過程では、青商会や若い世代のオモニたちによる「チャララ会」と朝青のメンバーらが中心となり、企画提案や練習、チケットの販売、宣伝活動などを活発に行った。

 「チャララ会」の責任者・金貞子さん(34)は、娘の金輝瑛ちゃん(6)と4世代の合唱に出演。「最初は、広い地域だし、みんな忙しい中で、きちんと練習ができるのか不安だった。しかし、本格的に合唱指導を受けるうちに、自信を持って歌えるようになった。また、練習に通うたびにハルモニたちが娘を孫のようにかわいがってくれて、次第に1世たちとの絆も深められたような気がする。また、馴染み深い歌を練習しながら、民族文化がずっと受け継がれていってほしい、100年後にも在日同胞は存在しなければならないと切に思った」。

 公演を終え、金賢寿さん(21、学生)は、「なかなか一つの場に集まるのが困難な中、多くの同胞たちが来場してくれて力をもらった。今後のよりパワフルな同胞社会の未来図を思い描けた。各世代の共演は、とても感動的だった。1、2世の意志を継いで3、4世が中心となり、盛り上げていかなければと思った」と話した。

 今公演をきっかけに、20余人の同胞たちが新たに支部とつながりを持つようになったという。芸術好きの同胞たちの特色を活かしたコンサートは、観客、出演者、スタッフ全員が輪になり、大きな力を発揮した。今後、民族の文化伝統を絶えることなく継いでいこうと意気込んでいる。

 実行委員の朴廣明・総連城南支部副委員長(非専従)は、「それぞれが事情を抱えるなか、みんなが公演成功に向け、一丸となり練習をしてきた。実際、民族の文化や伝統を受け継いでいくには、日頃から取り組んでいかなければならない。これを機に、現在活動しているチャンゴサークルをはじめ、各層でサークルを立ち上げ、練磨していければと思う」と語った。(文=姜裕香、写真=文光善記者)

[朝鮮新報 2010.3.31]