夜通し降り注いだ あの雨もやみ 東の空が 今やっと明らみ始める 待ち構えるような静けさの この地上に 陽は 淑やかに昇り来る
光眩い この地よ 美しく広がる この地よ 私には世界があまりにも明るく清らかで 足を踏み出すことさえ憚られるのだ
陽は あらゆるものから 乳を与えてくれたかのようだ 友よ、見よ 私たちの 前後に在るもの全てが 陽射しの房−その房を握り含む光景を
この上なき歓びよ この上なき素晴らしさよ この地はまるで 大きな愛の塊 あぁ、今日の日のわれらの命は なんと ふくよかに映るのだろう
リ・サンファ(1901〜43)
詩人。慶尚北道大邱生まれ。号は「尚火」。東京外国語学校仏語科卒業。「白潮派」から「PASKYULA」を経て「KAPF」に参加した初期プロレタリア詩文学の代表的人物 。代表作に「私の寝室へ」「奪われし野にも春は来るのか」などがある。(選訳・金栞花)
[朝鮮新報 2010.3.15]