top_rogo.gif (16396 bytes)

「日朝教育交流のつどい2010」リポート 東京第6初級 オモニ会の奮闘

「オモニたちが、未来開いてあげる」

 昨年暮れ、2月の頭に予定されている新入生歓迎会のメニュー決めのオモニ会役員会議に、校長先生が出席されてこうおっしゃった。「来年2月11日、日朝教育交流のつどいがウリハッキョで開催されるのだが、その200人分の昼食作りをお願いできないか」と。

200人分

授業参観の様子

200人分の食事作りに大忙しのオモニたち

 「200!?」とオモニたちの声。大量調理はお手のものだけれど、まずそれだけの人数の入る場所がわが校にはない。決まった以上やるしかないのだが、講堂(とは名ばかり)って収容人数何人? それも子どもたちの公演直後にそのまま昼食、テーブルセッティングも片付けも込みで昼食時間は午後の弁護士の先生の講演までのわずか40分って、ありえな〜い!!

 が、恐るべき前向き思考のオモニたち、すぐに協議に取りかかる。講堂には椅子だけならともかくテーブルを入れるとどうがんばっても席は100前後、日本の先生方の食事はそこで行われることになった。音楽室と講堂のドアをとっぱらって配膳。おかず班は公演終了と同時にフキンとおかずをもって講堂へ。先生方が楽しみにしているという乾物販売、飲み物のサービス、来ひんや子どもたちの食事、次々と配置していくと必要人数は30人以上!

 実は東京朝鮮第6初級学校(以下、第6)オモニ会員数はたったの37人。ここ何年かのベビーラッシュ(生徒数どんどん増えます!)で実働人数はその3分の2。大きいハッキョの一クラス分の人数で年間行事を全部こなす。小規模校だからといって行事の数が少ないわけでもなく、役員・非役員関係なく動けるオモニは常時全員集合。しかしこのつどい、イレギュラーなものだというのに加え、オモニ会主催のお楽しみイベント・新入生歓迎会のわずか4日後。

36回目

元気いっぱいに繰り広げられた子どもたちの舞台

踊りを披露する生徒たち

大好評だったオモニの味

 「互いに知り合うことから始めよう」を合言葉に始まったこの日朝教育交流のつどいは、都内の日本学校とウリハッキョの教職員たちや一般の方々がウリハッキョを訪れて、授業や芸術公演を観覧。文化交流などを通じて、子どもたちの教育環境の現状についても理解を深めようとするもので、今年で36回を数える。 こんな社会情勢下においても、未来を担う子どもたちを思い参加してくださる日本の先生方に失礼のないように、間違いなくこれから子どもたちの力になってくださるであろう大事なお客様を心からもてなすために、みなの力を貸してください! と説いたら、ほぼ全員のオモニたちの手が挙がった。

 当日は赤ちゃんをおんぶして走り回るオモニ、まだおんぶもできない赤ちゃんをバギーに置き去り(!?)にして調理室に詰めてくれたオモニ、足元にまとわりつく2、3歳児をかきわけながら3階までの階段を何往復もしてくれたオモニなど、オモニ会の次世代が大健闘。

 実行委員会の控え室もない。こんな非常事態には慣れっこのベテランオモニたち(!?)がバザー用品や資材置き場兼用の部屋をてきぱきと片づけていく。床の汚れを最後までこすって落としていた幼稚班オモニ、椅子のシミがどうしても気になると特殊クリーナー持参で早朝出動してくれた1年生のオモニ、前日朝から2日間ハッキョに詰めっぱなしの仕込み班。女性同盟の先輩オモニたちにもサイドメニューの協力をお願いして。取り皿、取り箸も準備する。衛生管理もしっかりしなきゃとマスクと三角巾も。三角巾は一人のオモニが一晩で縫い上げた手作りだ。保温ポットも数がないので、コーヒーの補充には元陸上部のオモニが走る! 地盤沈下でゆがんだサッシから隙間風が吹き込む極寒の玄関での乾物販売担当は防寒装備。本当に全員で心を込めて取り組んだのである。

 これで準備万端というところでまさかのアクシデント、何と講堂の暖房が壊れる。経済難のわが校、新品を買う予算がどこに? なぜ、こんなときに壊れるかなファンヒーター(涙)。

 前日には、寒い中来てくれた先生方に気兼ねなく自由に飲んでもらおうと増量したコーヒーカップを買い忘れ、閉店後の包装材料店のシャッターを叩いて叫ぶ。「すみません、開けてくださ〜い!!」。

 そうして臨んだ当日は何のトラブルもなく、すべてがうまくまわったのである。つどい自体もカルビクッパも大成功、バンザイ!!

「大丈夫よ」

 食べ物の思い出は時には他の何にも勝る。参加者たちには授業での子どもたちの真摯なまなざしや公演でのかわいい姿と一緒に、おいしい食べ物や温かいおもてなしの印象が残っているといいな。オモニ会のコンセプトは「子どもたちの未来のために」、ずばりそのためのこのつどいが今年度オモニ会の仕事納めだというわけで、満足感でいっぱいの第6のオモニたちである。

 大丈夫よ、オモニたちがあなたたちの未来をひらいてあげるから。(朴明姫・東京朝鮮第6初級学校オモニ会副会長)

[朝鮮新報 2010.3.10]