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くらしの周辺−アイヌの若者の集い

 先日、「アイヌ民族若者の集い」に参加してきた。

 北海道はもともと彼らの土地であったものを、日本の明治時代の侵略によって私たちが住むようになった経緯がある。

 アイヌの人と初めて話をしたのが今から十年前。お酒も入っていたということもあるが、「お前たち(日本人)は、俺たちの土地を奪っておいて、これからどう責任をとってくれるんだ」と、強い口調で言われた。それに対して、今考えると何て恥ずかしい返答をしてしまったのか、「じゃ、どうしたらいいんですか?」と。するとあたりまえだが烈火のごとく怒られた。

 それから激怒された理由を探すべく、事あるごとにアイヌ民族に関しての講演やコンサートに参加するようになり現在に至る。いまだに十分ではないが、ようやく彼らの集いにも誘われるようになった。

 その集いの中で、彼らの切実な悩みを聞くことができた。アイヌ民族には、いわゆる「ウリハッキョ」がなく、それぞれが一つになりにくい環境にある。だから日本学校に通うしか選択の余地はない。それぞれが共通の悩みを抱えているのにもかかわらず、それを共有できないでいる。

 それに比べると、ウリハッキョは先達たちの血の滲む苦闘の歴史があったからだと思うが、一声かければ、みなが集まれる場所があり、卒業生たちも安心して帰ってこられる場所がある。

 そんなところで仕事ができる私は、何て幸せ者なのだろうか。(藤代隆介 北海道朝高 サッカー部監督)

[朝鮮新報 2010.3.5]