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僕らのトンムたち−権正生−

僕らのトンムたちは みんな
ひとつひとつ おなじ血を分けていて
冬には
白頭山から吹いてくる風を吸いこんで
どんなに寒くても
瑞々しい松風を吸いこんで
白頭山天池から流れる水を飲んで
東海へ、西海へと流れる水を飲んで

考えが違うのは 大人たちだけで
いがみ合うのも 大人たちだけで

僕らのトンムたちは
お日様が顔を出すときみたいに
目を開けて
今もお日様みたいに
僕らの目は開いていて
つつじの花を摘んで食べて
胸が紅い色していて
そして僕らはみんな おなじトンムたち

僕らは 知っているんだ
みんな 知っているんだ
僕らは 甑餅みたいにくっついていて
切っても切っても 
またくっついちゃうお水で
僕らのトンムたちは
つつじの花が苦いってことも知っているし
僕らのトンムたちは
つつじの花が甘いってことも知っているし

僕らの足は 半島の上に踏ん張っていて
僕らの手は 半島の上をきれいに掃いて
僕らのトンムたちは 笑い声もおなじで
僕らのトンムたちは 歌声もおなじで
いつまでもしっかりと
手をつないで生きて行くんだ
※トンム=友だち

 サプサリ(むく犬)文庫16
 「オモニが暮らすあの国には」
(1988年・知識産業社)

 クォン・ジョンセン(1937〜2007

 童話作家・詩人。東京生まれ。解放後、母親の実家がある慶尚北道青松に帰国。貧困の中苦労を重ね結核を患い、29歳の頃より教会で鐘撞きをしながら「仔犬のうんち」(69年、基督教児童文学賞受賞)で作家の道を歩み始める。第一回韓国児童文学賞受賞。童話集「林檎畑のお月さま」、「海辺の子どもたち」、小説「モンシル姉さん」、随筆集「汚物ダンゴのように転がりながら」などがある。(選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2010.2.22]