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〈本の紹介〉 兵庫の大地震と在日韓国・朝鮮人

同胞救援に全力尽くす

 阪神・淡路大震災(1995年1月17日)から15年が経った。

 当時テレビを通して伝えられた現地の状況は、高速道路が崩れ、デパートが倒壊し、多くの家屋がつぶれた無惨な姿であった。同胞密集地域として知られる長田地区では各所で火事が起きていた。人命被災は死亡者総数6434人、行方不明者3人、ケガ人4万3792人、避難人数32万人(大震災関係データ一覧、神戸新聞)。

 「総連中央地震被害同胞救済対策委員会」が発表した同胞被害状況は、死亡者125人、ケガ人1500余人、家屋の焼失および破損1227件(全壊791件、半壊436件)、避難生活者4200余人、被害総額3500億円(推算)(総連各機関、学校、商工会、朝銀、保険機関、同胞家屋、工場、商店など)におよんだ。

 本書を出版した兵庫朝鮮関係研究会では、震災から15年が経った今日「日本の書店には阪神・淡路大震災に関する書籍があふれんばかりに陳列されているのに、同胞社会が全力を尽くして繰り広げた闘争を朝鮮人の立場から記録したものを探すことができない」とし、当時、罹災同胞救援に全組織と同胞たちの協力のもと迅速に対応した総連の活動をはじめとした同胞団体の支援活動を詳しく調べ、当時の記事と資料、証言をまとめて出版した。

 本書の後半部分には、「北但馬大震災」(1925年5月23日)、「北丹後大地震」(1927年3月7日)、「関東大震災」(1923年9月1日)と朝鮮人についても取り上げられている。巻末には、阪神・淡路大震災在日韓国・朝鮮人関係参考資料を収録。

 阪神・淡路大震災時に発揮された総連の迅速で組織的な救援活動体系と地方自治体および行政からの支援、メディアの好意的な報道そして何より同胞ネットワークが存在してこそ現れる民族的連帯意識と相互扶助の伝統的美風、血縁地縁的絆は、簡単に作られるものではない。

 筆舌に尽くしがたい災難を乗り越え、地域住民らと手を取り合って立ち上がる兵庫同胞のたくましい姿に学び、組織の大切さと日々の活動の意義を考えた。(兵庫朝鮮関係研究会 編、社会評論社、2200円+税、TEL 03・3814・3861)(金潤順記者)

[朝鮮新報 2010.2.19]