文芸同京都結成50周年記念公演「ハンマウム」 音楽、舞踊の一大絵巻にうっとり |
在日本朝鮮文学芸術家同盟(文芸同)京都支部結成50周年記念「ハンマウム(一つの心)」公演が、2010年1月17日、京都市・右京ふれあい文化会館で行われた。満員の500余人の同胞たちが観覧した。 文芸同の各メンバーや京都歌舞団メンバーとOB、OG団員、それに京都朝高の民族楽器・声楽・舞踊・吹奏楽の各部員ら100余人の出演者によって音楽・舞踊の一大絵巻が展開された。
喜びと自負心
美しく華やかな舞踊、清く澄んだ重唱、スピーディーで軽快な音楽の吹奏楽は同胞たちの感動を呼び起こした。 出演者たちはこの日の晴れ舞台のために、多忙な日常生活の合間をぬって、一年間以上も練習に打ち込んできた。若いオモニたちは赤ちゃんをあやし、幼子を連れての稽古だった。しかし、そんな苦労も同胞たちの熱い声援の拍手や賞賛で吹き飛んだに違いない。 観覧者たちはすばらしい歌声に魅了され、伝統的な旋律と楽器の民族的な音色にうっとりと酔いしれ、色鮮やかなチマ・チョゴリの民族衣装に感動した。そして、激しい動きの舞に目を見張らせ、朝鮮民族であることの喜びと自負心を実感した2時間であった。 舞台ですぐれた芸術技量を発揮した京都朝高生たちや文芸同の朝青・女性同盟のメンバーのほとんどが、民族学校在学中の幼い頃から芸術サークル活動に励み、歌をうたい舞踊を習ってきた。民族学校の公開授業や発表会の催し会場で、幼児たちや生徒たちの実演を見る機会がたくさんある。実に楽しそうに歌い踊っている。 「雀百まで踊り忘れず」と言われるが、幼い頃から親しみ、稽古を重ねることは大切なことなのだろうと思う。幼い時から民族の文化や芸術に触れ、興味を抱かせる情操教育はとても重要なのだ。 在日朝鮮人社会のなかで、民族文化芸術の伝統を継承発展させるためには、まだ幼い時から目的意識的に教え習得させる環境が大切であり、民族教育の学校こそが望ましい環境であると思う。
民族性守る砦
「韓国併合」100年目を迎える今年、在日同胞は今も大きな節目を克服できずにいる。在日同胞たちの考えと生き方は、いっそう複雑化し変化し続けている。日本社会の混沌とした世相が大きく影響しているようだ。 近年、日本国籍を取得する同胞が毎年増え、国際結婚の数もうなぎ登りに増加している。 反面、言葉や風習、伝統などを学ぼう、知ろうと努力する若者が減少していることも深刻な問題である。 在日同胞の同化傾向、日本社会におけるグローバル化は避けようのない現象になっている。それだけになおさら、在日同胞のアイデンティティの確立が強く求められている。 このために今、最も必要なことは次世代を担う同胞師弟への民族教育をしっかり擁護し強化することである。民族性を守る砦は民族学校である。最後の防波堤が民族学校なのだ。 在日同胞にとって宿願である祖国統一の実現のためにも、思想、信条・政党、団体所属の違いを越え、和解し協力しあっていかねばならないと思う。 結成当初から
「ハンマウム」の公演を観覧しながら、私は何度も目頭が熱くなった。舞台で展開するすばらしい演奏や優雅な舞踊とさわやかな歌声に感動を覚えた。 この民族文化芸術は代を継ぎ、発展させねばならないと強く感じた。 私は文芸同京都支部結成当初からメンバーとして50年間活動してきたことを誇りにしたい。残された時間に山積する課題を一つでも成し遂げればよいと思っている。(辛榮浩 文筆業、写真=文光善記者) [朝鮮新報 2010.2.17] |