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〈みんなの健康Q&A〉 東洋医学(漢方)−考え方(下)

 Q:お酒の影響はどのように考えますか?

 A:お酒は少量をたしなむ程度であれば、百薬の長となりえますが、大量に飲酒し、毎晩ともなれば身体に良いわけがありません。お酒の種類によって、身体を非常に冷やしてしまうものと、熱を持たせてしまうものがあります。

 まずは、しゃっくりが止まらなくなり、腹が出てくる、歯ぐきから出血しやすく、鼻血も出やすくなります。ひどい場合には、尿や便に血が混じることもあります。また、二次的には食欲をなくし、下半身がだるくてむくみ、湿疹、水虫、関節の痛みと腫れ、しびれなどが見られることもあります。楽しくお酒をたしなむためにも、自分の酒量をわきまえて、間隔を開けて、食事をしっかり摂るなどの注意が必要でしょう。

「ツボ療法」

 ○足三里 膝下のすねの上にある突起した骨から外側に1寸5分(指2本分)の所。
 @方法は、上記の足三里と同じように刺激する。
 ○内庭 足の甲側で、人差し指と中指とのつけ根。
 @方法は、足三里と同じように刺激する。

 Q:心労が多いとどうなりますか?

 A:考えすぎたり、心配しすぎたりすると身体に影響をおよぼします。急に心配事や考えることが多くなり、しかも長期になると、動悸、物忘れが激しくなり、不眠、食欲不振、腹が張る、下痢などの症状が表れます。漢方では、精神と内臓とは密接に関与していると考えます。つまり胃が悪いと思い悩み、肺が悪いとよく悲しみ、肝が悪いと怒りっぽいなどが特徴です。早急にそのような環境を脱して、ツボ療法によって健全な精神を保ちましょう。

「ツボ療法」

 ○神門 手首の内側、横ジワの小指側の端。
 @爪楊枝の頭の方で、神門を5秒押して2秒休むを3分間繰り返す。
 A親指でツボを強めに指圧しなら、手首を曲げたり伸ばしたり3分間繰り返す。
 Bそこへ唐辛子の種や米粒を絆創膏で固定して、その上から時々強めに指圧する。

 Q:体内の水分代謝が悪いとどうなりますか?

 A:体内で何らかの原因により、水はけが悪くなると、それが凝縮されて「痰飲」という状態になり、あらゆる機能に悪さをすることになります。

 症状は、各機能と部位によって異なります。呼吸器系に影響すると、痰が切れにくい、咳、呼吸困難、すぐに横になりたがるなどが表れます。精神神経系に影響すると、意識がもうろうとして、動悸、不眠、めまいなどが起こります。消化器系に影響すると、腹が張る、胃がもたれる、食欲不振、胸やけ、吐き気、手足がだるい、腸がぐるぐる鳴るなどが表れます。皮膚系統に影響すると、腫れる、むくむ、しこる、しびれるなどが表れます。症状が軽いうちに、以下のツボ療法で解消しましょう。

「ツボ療法」

 ○豊隆 足の外くるぶしと膝の皿の外側のくぼみとの中間。
 @足三里と同様の刺激。

 Q:過度の性行為が身体に与える影響はどのように考えますか?

 A:過度の性行為は、身体のあらゆる機能を消耗させると考えます。「先天の精」は腎と定義します。腎とは親からさずかった充実したエネルギーです。それを後天的に小出しに使いながら生活していくのです。過度の性行為は、それを使い切ってしまう行為にほかなりません。したがって足腰が重く弱くなり、めまい、耳鳴り、疲れやすい、精力減退などの老化現象に似た症状が表れます。ひどい場合には、精液が自然に漏れてしまったり、インポテンツになることもあります。我欲にまかせる性行為は、無駄以外の何ものでもないでしょう。

「ツボ療法」

 ○太谿 足の内くるぶしとアキレス腱との間で脈が触れる所。
 @親指の腹を太谿にあてて、硬貨ほどの円を描くようにぐりぐり3分間もむ。
 A爪楊枝の頭の方で、太谿を5秒押して2秒休むを3分間繰り返す。
 Bそこへ唐辛子の種や米粒を絆創膏で固定して、その上から時々強めに指圧する。

 Q:漢方の腹式呼吸があると聞きましたが?

 A:そうなのです。一般に行われる深呼吸や腹式呼吸とは違う、独特なものです。ここでは本格的で、しかも簡単にマスターできる「漢方腹式呼吸」を紹介します。

 朝起きたとき、仕事中に疲れを感じたとき、就寝前などに、5〜10分ほど意識を集中して行いましょう。毎日の習慣にするのが、効果を引き出すコツです。立位でも座位でも、楽な姿勢で行いましょう。

 @体の力を抜き、軽く目を閉じる。または半開きにする。舌先を上の前歯の裏側の歯ぐきに軽くあてる。

 A鼻からゆっくり息を吸う。その時下腹をふくらませるように、へその下部分(「丹田」という)に空気を取り入れる意識で吸う。

 B舌先を通常の位置に戻しながら、口からゆっくり息を吐く。下腹の空気はためたままとし、胸の空気だけを吐き出す意識で吐く。

 C5分ほど@〜Bの深呼吸を続けていると、舌の裏側に唾液がたまる(漢方では、これを「津液」という栄養物質と考える)。この「唾液」を固形物を味わうような意識で、3回にわけてゆっくりと飲み込む。

 ※Cで5分以内に唾液がいっぱいにたまるようであれば、そのつど3回にわけて飲み込む。この呼吸に慣れてくると、唾液のたまり具合がゆっくりになるので、その場合は、10分に1回くらい飲み込んでも良いでしょう。

 以上のように漢方とは、独特な考え方をもとにして身体を考察しているのです。古より身体はそれほど進化していません。むしろ周辺の科学のみが、ものすごい勢いで進化しているのです。それ自体は歓迎すべきことなのですが、身体の訴えを無視して科学に振り回されるのはいかがなものでしょうか。東洋医学(漢方)をもう少し見直しながら、皆様が心身ともにご健全であらんことを切に祈念しております。

(李昇昊、うえの針灸整骨院、東京都台東区東上野1−18−10、TEL 03・3832・6880)

[朝鮮新報 2010.2.10]