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〈みんなの健康Q&A〉 東洋医学(漢方)−考え方(上)

 Q:漢方で「冷え」は、どのように考えるのですか?

 A:大きくは外界の「寒さ」と体内のエネルギー不足で生じる「冷え」の2通りがあると考えます。

 「冷え」の代表的なものとしては、背筋がゾクゾクと寒けがする風邪の症状でしょう。その他に腹痛、お腹が冷える、未消化物の混じった下痢をする、手足の冷え、唇が青白い、けいれん、関節の動きが悪いなどの症状が見られます。真冬に薄着をして寒さにさらされたり、夏にプールに長く入っていたり、冷たいものを大量に飲食して、急激に身体を冷やした結果、このような症状が現れるのです。しかし、そのほとんどは、身体の寒さに対する抵抗力が低下したときに引いてしまうことが大半をしめます。普段からツボ療法を行い、「冷え」に強い身体を作り上げましょう。

「ツボ療法」

 ○大椎 首の後ろ、頭を曲げると出っ張る首の付け根の大きなツボのすぐ下。
 @爪楊枝を5本輪ゴムで束ねて、その尖っている方で大椎を中心に野球ボールほどの範囲を、トントンと5分間叩く。
 Aタオルを大椎にあてて、その上からドライヤーの温風を10分間あてる。熱くなったら離し、また近づけるように繰り返す。
 ○中 へそとみぞおちの中間。
 @中に手のひらをあてて、円を描くように5分間ゆっくりと押しもむ。
 Aタオルを中にあてて、その上からドライヤーの温風を10分間あてる。熱くなったら離し、また近づけるように繰り返す。

 Q:「湿気」についてはどのように考えますか?

 A:梅雨時に症状が発生したり、悪化する方が少なくないのは、日本の多湿な気候と大変関連が深いのです。さらに身体の内部に湿気を引き込んでしまう胃腸機能の障害なども問題になります。症状としては頭が重く(帽子をかぶっているような感じ)、手足がだるい、大便がベトベトして切れが悪い、小便がにごる、腹が張る、むくみやすいなどが表れます。ひどくなると、皮膚病、関節痛などに発展して慢性化してやっかいになります。常時水分の取り方に注意して、運動や衣服を調整して、汗をかくことも大切です。

「ツボ療法」

 ○足三里 膝下のすねの上にある突起した骨から外側に1寸5分(指2本分)の所。
 @爪楊枝の頭の方で、足三里を5秒押して2秒休むを3分間繰り返す。
 Aそこへ唐辛子の種や米粒を絆創膏で固定して、そこを強めに指圧する。
 ○豊隆 足の外くるぶしと膝の皿の外側のくぼみとの中間。
 @足三里と同様の刺激。

 Q:血液循環が悪いとどのような症状が表れますか?

 A:「瘀血」という言葉を聞いたことがありますか? つまり「古血」と似たようなものです。何らかの原因により、体内の血液の循環が停滞すると粘稠性が増したり、かたまり、瘀血が生じて、身体に対してあらゆる症状を発生させるのです。

 その症状には、全身的なものと局所的なものとがあります。その特徴としては、刺されるような痛みがあり、いつも同じ場所が痛む、押されたりもまれるとよけいに痛む、夜に痛みが悪化する、触ると塊りがある、さらに黒っぽい月経が見られ、時には塊りが混じる、顔色が黒ずみ、皮膚がかさつき、斑点が多く、あざができやすい、爪がもろいなどが見られます。

「ツボ療法」

 ○血海 膝に力を入れて伸ばした時、皿の内側やや上にできるくぼみから、ふとももへ2寸(指3本分)向かった所。
 @親指を血海にあてて、硬貨ほどの円を描くようにやや強めに3分間もむ。
 Aそこへ唐辛子の種や米粒を絆創膏で固定して、その上から強めに指圧する。
 ○三陰交 内くるぶしの中央から、すねの内側に沿って膝の方へ3寸(指4本分)上がった骨の内側。
 @方法は血海と同じようにする。

 Q:偏食するとどのようになりますか?

 A:漢方の考え方で食べ物には、その性質として四気(寒熱温涼)があり、味として五味(辛甘酸苦鹹〔塩辛い〕)があると言います。これをバランスよく取ることが健康を保つ最大の秘訣であると考えます。

 ところが、たとえば冷たいものを取りすぎると、腹痛や下痢を起こすし、辛いものを取りすぎると、口が乾き、腹が張って痛み、便秘を起こし、ひどくなると痔になることもあります。偏食の対処法としては好きな物を3つひかえて、嫌いな物を3つ努力して口にすることがポイントです。要は好バランスです。

「ツボ療法」

 ○足三里 膝下のすねの上にある突起した骨から外側に1寸5分(指2本分)の所。
 @方法は、上記の足三里と同じように刺激する。
 ○中 へそとみぞおちの中間。
 @方法は、上記の中と同じように刺激する。

(李昇昊、うえの針灸整骨院、東京都台東区東上野1−18−10、TEL 03・3832・6880)

[朝鮮新報 2010.2.3]