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〈第32回在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクールから〉 初級部6年 作文部門 1等作品

 本社主催の第32回在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクール1等入選作品の日本語訳(本紙編集部訳出)を今号から4編紹介する。

ほこらしいぼくのアボジ

 ぼくはアボジが大好きです。

 背はそれほど高くなく、ヘアスタイルはくるくるで、ぼくにはとてもたよれるアボジです。

 アボジは自動車を直す仕事とウリハッキョの教育会会長をしています。

 ぼくはそんなアボジをとてもほこらしく思っています。

 さる5月、第2回運動会総練習の日のできごとです。

 教務主任の先生が、「次は教育会会長が一言おっしゃることになっていますが、今日は省略します」とおっしゃいました。

 ぼくは胸の中で考えました。

 (いつもおかしな冗談しか言わないアボジが、前で話すなんて?! ありえない)

 ぼくは家に帰って、アボジが働いている工場に行って聞いてみました。

 「アッパ! こんどの運動会の日に、前であいさつをするんですか?」

 「うん、するよ」

 「わーっ! すごい!」

 ぼくは運動会の日がくるのを待ち焦がれました。

 (アボジは人前でうまく話せるかな?)

 運動会当日がきました。

 ぼくはアボジとともに家を出ました。

 車の中でぼくは、「アボジ、今日はがんばってください!」と言いました。

 「わかった、わかった」

 運動会が始まりました。

 アボジがあいさつをする順番がきました。

 ぼくが出るわけでもないのに、ぼくの心ぞうはドキドキしました。

 アボジのあいさつが終わると、運動場には拍手がわき起こりました。

 ぼくは安心して最後まで運動会に参加することができました。

 運動会を終えて、ぼくはアボジとともに帰りながら、このように話しました。

 「今日のあいさつはとてもかっこよかったです」

 アボジは「ハハハー」と笑いました。

 ぼくのアボジは自動車を直す自動車整備士です。

 どんなにめちゃくちゃにこわれた自動車でも、自動車好きなうちのアボジが真心を込めててきぱきと直せば、自動車は見違えるように、新車のようにかっこよく変身して力強く走ります。

 アボジが直した自動車の持ち主は、みんなにこにこと明るい笑顔を浮かべて、「社長さん、ありがとうございます。うちの車が生き返りました。本当に気持ち良く走ります。社長のうでは並大抵でありません」と言います。

 こういう話を聞くたびにうれしく、アボジがとてもほこらしく思えるのです。

 うちのアボジは、9人兄弟の長男ですが、自動車がすごく好きなので、自動車整備の勉強をして、難しい国家試験に合格して自動車整備士になったそうです。

 初めにトヨタで仕事をしましたが、家族と同胞のために役に立てる会社を作ろうと、こつこつとお金を貯めて今の会社を作ったそうです。

 仕事をしながらもアボジは手が空くと学校に訪ねてきます。自動車整備士の作業服姿でです。

 青い作業服で校内を見て回ったり、校長先生や教務主任の先生、教育会の先生と話もします。

 数日前には校門を直していました。

 アボジも東京第3の卒業生です。

 そして、アボジが東京第3に通っていたときは、ハラボジが第3学校の教育会会長をしたそうです。

 なので、アボジが第3学校を大事に思い、守ろうとする気持ちが他のだれよりも強いのだと思います。

 うちのアボジが4年生のとき習った先生から、今はぼくが国語を習っています。

 (アボジが4年生のときはどんな子どもだったんだろう?)と考えると、ちょっとはずかしかったり、何かふしぎな感じがします。

 ぼくも大きくなってアボジになったら、子どもを必ず東京第3学校に入れます。

 そして、ハラボジとアボジのように代をついで、3代目の東京第3学校の教育会会長になりたいです。

 (ひょっとして、ぼくが教育会会長になったら、そのときはぼくの息子もこのような文を書いてくれるかな?)

 ぼくも大きくなったらアボジのように、尊敬されるよう、学習と生活を一生けん命やっていきます。

(東京朝鮮第3初級学校 文陽善)

[朝鮮新報 2010.1.29]