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「天安」号事件 駐南元米大使 ロシア報告書未発表の理由明かす

「南政権に打撃、米も困惑」

 「ロシアの『天安』号沈没事件報告書が公表されれば、李明博大統領への相当な政治的ダメージとなり、オバマ大統領をも困惑させるであろう」

 ドナルド・グレッグ元駐南朝鮮米大使は、ニューヨークタイムズへの8月31日付寄稿文で、「天安」号事件に関するロシアの検証報告書が公表されていない理由について、「信頼できるロシアの友人」の証言を引用しながらこのように主張した。

 ロシア海軍専門家チームは6月に南朝鮮入りし、南当局の「天安報告書」について分析・検証を行ったが、報告書はいまだ公表されていない。

 グレッグ氏は、南は「天安」号事件が北の魚雷攻撃によるものであると結論づけ、米国もこれに同調したが、「北の仕業であるということに国際社会の誰もが同意しているわけではない」と強調。南当局の対北強硬策による北南関係悪化に憂慮を示す一方、オバマ政権は平壌との対話路線を検討すべきであるという考えを示した。

 グレッグ氏はまた、「李明博政権は北にかかるすべの橋を焼き払ってしまった。李政権の出口のない対北強硬策により現在の南北関係は古典的なチキンレースのようだ」とし、「(北に対する)軍事演習、経済制裁、非難がどのようなものであろうと、北の体制の崩壊を望むワシントンとソウルの人々は失望する(崩壊はない)であろう」と指摘した。

 グレッグ氏は3日にもラジオに出演し、「事故の起きた海域には暗礁と機雷が多い。『天安』号沈没事件は事故の可能性がある」と主張。また、「(昨年)北が南北首脳会談を提案し、李姫鎬女史(金大中元大統領夫人)の6月平壌訪問を招請した状況で、(今年3月)南の軍艦を撃沈させて自ら立てた日程を反故にするようなことは、情報機関の出身者として、理解できない」としながら、北の関与に否定的な考えをあらためて示した。

 さらに、「ロシア調査団は調査活動を事実上遮断された。中国には、調査が不可能であるので調査団を派遣すべきでないと助言し、これによって中国政府は派遣しなかった」との趣旨の発言をした。

 グレッグ氏は、80年代から国家安全保障会議(NSC)東アジア担当官、ブッシュ副大統領国家安保担当顧問を歴任、89年から93年まで駐南朝鮮米大使を務めた。

広がる波紋

 グレッグ氏の一連の発言が波紋を広げている。

 南国会の外交通商統一委員会所属の民主党朴柱宣議員は5日、「天安」号事件と関連し、南政府が引き続き機密主義を固守しながら資料を公開しないのなら、疑惑解消のための政府レベルの真相調査努力をせざるをえないとしながら、「10月4日から始まる外交通商統一委の国政監査でグレッグ元大使を証人として招き彼の主張の真意を聴取するだろう」と指摘した。

 朴議員は、南政府はロシア側から調査結果が提供されたのか、そうであればその内容は何か、南の調査結果とどのような違いがあるのかなどについて国民に明かすべきだと主張した。

 一方、グレッグ元大使の主張に対して民軍合同調査団に参加した関係者は3日、連合ニュースの質問に、「当時国防部はロシア調査団に全資料を見せて提供した」と反発している。

 ロシア側が今後、調査結果の詳細を発表するのか、その場合どのような内容なのか、注目が集まっている。(姜)

[朝鮮新報 2010.9.10]