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南朝鮮、日本の市民団体が共同で大会開催

「併合条約」強制は不法・不当行為

大会には約1千人が参加した

 「韓国強制併合100年日韓市民共同宣言日本大会」(「韓国強制併合100年共同行動」日本実行委員会主催)が22日、東京・池袋の豊島公会堂で開催され、約1千人が参加した。同大会は、南朝鮮と日本の市民団体がそれぞれ実行委員会を結成し、朝鮮半島に対する日本の植民地支配の完全なる清算を目指して行われたもの。29日には、ソウルでも同様の大会が開催される。

 大会ではまず、「韓国強制併合100年共同行動日本実行委員会」の伊藤成彦共同代表と南側実行委員会の李離和常任代表があいさつした。

 伊藤代表はあいさつの中で、8月10日に日本首相が発表した談話について触れながら、「植民地支配の根本をなす『韓国併合条約とその強制』が国際法に反する不法・不当な行為であったこと」を認め、「無効」であったことが宣言されていないと指摘。併合条約の強制の非を認めなければ、「どのように反省、謝罪しても、それは空言にすぎない」と述べた。

 一方の李代表は、「植民地主義の清算を通じた東アジア平和の実現」のために、両実行委員会が共同で日本政府に対し過去の清算を求める運動を推し進めるための課題を作ることができたと述べながら、「今日はその出発を知らせる場」だと話した。

 基調講演では、青山学院大学の宋連玉教授と立命館大学の庵逧由香准教授が登壇。宋教授は、日本の植民地主義が現在においても続いていると指摘しながら、「日本の民主主義の中身を問うこと」が、過去を清算するためにも重要だと強調した。そのうえで、日本の歴史認識の不在が、朝鮮半島の分断にも大きく荷担していると話し、日本が行った過去の歴史的事実に触れることなくしては、日本と朝鮮半島の市民の連帯も実現できないと述べた。

 庵逧准教授は、いま日本政府に求められていることは、「植民地支配責任を国家として認め、植民地支配の清算による真の『脱植民地』を行ってこなかったことに対する責任を、真摯に果たすこと」だと指摘した。そして日本が朝鮮半島の南側だけと国交を結んでいる「不均等状況をなくさないことには、日本の植民地責任問題の解決や清算」はなされないと言及した。

 続いて、南朝鮮留学生や日本、在日朝鮮人学生らで構成された「青年・学生実行委員会『なあがら』」のメンバーが、「植民地主義は現在を生きる私自身の問題である」と題した宣言を発表。メンバーらは、若者である自分たちも、植民地主義を克服する当事者であると訴えた。

 大会では、植民地支配で直接被害を被った3人が南朝鮮から招待され、自身の体験を証言した。

 元日本軍「慰安婦」被害者は18歳で強制的に連行され日本軍の「性奴隷」にされたこと、現在でもその事実を隠し続けながら生きていることを涙ながらに語り、「日本政府の謝罪と補償を勝ち取るまでは死んでも死にきれない」と訴えかけた。

 福岡県の炭鉱に強制動員された孔在洙さんは、食事もろくに与えられず過酷な労働を強いられたこと、逃亡を図って捕まり数日にも及ぶリンチを受けた体験を語り、「脱走し捕まった(朝鮮の)青年たちが、次の日から見えなくなった。彼らはいったいどこに行ったのか」と口にした。そして「日本政府に対して、朝鮮人を強制連行した歴史の事実を明らかにすることを望む」と話した。

 日本の植民地政策によって、1941年にロシアに強制連行された父親についていき、その後、70年近くにわたって故国の地を踏むことができなかった「サハリン韓人」の朴魯榮さんは、南朝鮮でのサハリン帰還者の生活の現状や今でもサハリンに暮らす同胞高齢者の問題、また未払いのままになっている強制労働時の賃金問題について訴えかけた。

 大会ではまた、日本に残る朝鮮人犠牲者の遺骨問題、関東大震災時の朝鮮人虐殺問題、在日朝鮮人の法的地位問題、朝・日国交正常化運動について、それぞれ発言があり、東京朝鮮中高級学校生徒の高英載さんが「高校無償化」から朝鮮学校が除外されている問題について話した。

 大会では最後に「日韓市民共同宣言・行動計画」が発表、採択された。

 宣言では、日本による植民地支配が強制をともなう不法、不当なものであったとしながら、「日本政府は、被害者に謝罪と補償を行うとともに、同じ過ちを繰り返さないための事業を進めていかなければならない」と指摘。また「朝鮮半島における脱冷戦、脱植民地主義の実現として南北分断の克服、統一を目指していく」と言及した。そのうえで、過去の真相を究明し、植民地支配を清算することなどを日本政府に求めた。(鄭茂憲)

「韓国併合」共同宣言大会南側実行委代表 首相談話に「進展はない」

[朝鮮新報 2010.8.25]