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国際シンポジウム「『韓国併合』100年を問う」 東京大学弥生講堂一条ホール

「植民地主義克服し、問題解決の転換期に」 1000人超える聴衆

1千人を超える聴衆が参加した

 国際シンポジウム「『韓国併合』100年を問う」が7〜8日、東京大学弥生講堂一条ホールで行われた(主催=国立歴史民俗博物館、共催=「韓国併合」100年を問う会、後援=岩波書店、朝日新聞社)。

 2日間で4つのセッションと特別セッションが行われ、27人の学者、研究者らが幅広い視野、視点から見た「韓国併合」100年について問題提起と発言を行った。猛暑の中、2日間で1千人を超える聴衆が会場に足を運んだ。

 まず、国立歴史民俗博物館の平川南館長が開会のあいさつをしたあと、成均館大学校東アジア学術院の宮嶋博史教授があいさつに立ち、同シンポの意義について「『韓国併合』にまつわる諸問題がいまだ解決していない状態のまま、101年目を迎えてはならないという思いからこのシンポを開くこととなった。この問題解決の転換期になれば」と述べた。

 セッションに先立ち、奈良女子大学の中塚明名誉教授が「歴史をもてあそぶのか−『韓国併合』100年と昨今の『伊藤博文言説』」と題して講演を行った。

 中塚氏は「今年の5月10日に発表された日韓知識人共同声明で、『韓国併合条約』について当初から不当で無効なものだと日本政府が一刻も早く認めるよう求めた。今、日本で『韓国併合』そのものについて知らない人が圧倒的に多く、知識人の中にも存在するのが現状である」と日本人の無知と歴史離れを批判。「韓国併合」から35年を経た1945年、日本帝国主義が第2次世界大戦によって敗戦したことは、日本史最大の教訓であると述べ、「朝鮮民族はもともと一つであるのに、敗戦から65年が経ってもなお日本は南北分断を固定化する動きに精力を傾けている。『韓国併合』100年のこの年にあらためて考える必要がある」と述べた。

 つづいて、午後からセッション1「近代の東アジアと『韓国併合』」が始まった。

 進行役を務めた千葉大学の趙景達教授が、東アジアの近代は日本が中国を奪取し、朝鮮はその餌食となる時代だったと話した。

 「1905年11月に『日韓保護条約』を結んだときから朝鮮は日本の植民地に転落した。当時の日本の世論は、朝鮮人は利己主義で愛国心のかけらもないから、日本が支配するのは当たり前だという認識があった」と100年前の議論が今でも残る日本の現状を厳しく非難した。

 セッション2では、「日本の朝鮮植民地支配」と題して、早稲田大学の李成市教授が「今なお求められる植民地主義の克服は、植民地期に由来する苦痛から解放されていない人々が存在するからだ」と述べた。

 2日目のセッション3では「戦後日本と植民地支配の問題」に関して東京大学の和田春樹名誉教授が問題提起を行い、戦後一貫して日本の知識人の中から朝鮮植民地支配の反省、問題提起がほぼ出てこなかったと指摘した。「2002年の日朝平壌宣言によって改善されるべきであった日朝関係は、現在最悪な状態に陥っている」と述べた。

 恵泉女学園大学の内海愛子名誉教授は戦争裁判と植民地の問題、朝鮮、アジアを排除したサンフランシスコ講和条約などについて言及しながら次のように指摘した。

 「植民地支配の清算をすることなく日本は戦後をスタートした。冷戦崩壊、韓国の民主化闘争の勝利で被害者が声を上げることができるようになった」

 「戦後補償裁判は2010年現在、80件を超す。法廷で語られる被害者の証言はこれまで無視されてきた植民地支配・戦争被害の実相であり、戦後半世紀以上も省みられなかった被害者の『叫び』だった。謝罪のない政府への怒り、不条理な処遇に、被害者は人間の尊厳をかけた執念の闘いを続けている」(尹梨奈記者)

[朝鮮新報 2010.8.20]