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〈「韓国強制併合100年」に寄せて−下〉 「植民地責任」「植民地犯罪」の類型

 「植民地責任」「植民地犯罪」は国際基準(国際法)でジャッジメントすることができる可能性がある。それは、「人道に対する罪」「ジェノサイドの罪」という法概念を植民地主義を批判する概念として援用することである。

 人道に対する罪およびジェノサイドの罪は、戦時にとどまらず平時にも起こった大規模暴力を射程に入れているため、日常化した植民地体制下での犯罪を問う新たな手がかりを与えてくれる。

 朝鮮に対する日本の「植民地責任」「植民地犯罪」を法概念に照らし合わせると、次の3つの類型に区分することができるのではなかろうか。

植民地化の犯罪

 明治初年以降、朝鮮に対する植民地化過程において犯した犯罪である。

 日本は朝鮮を植民地化するために2度にわたる対外戦争(日清・日露戦争)を行ったが、もうひとつの戦争、すなわち日本の侵略に対抗した東学農民革命、義兵戦争を弾圧する「植民地戦争」を経なければならなかった。

 これらの民衆虐殺は東アジアにおける最初のジェノサイドであった。「植民地戦争」の中で生じた大量虐殺や捕虜虐待などは当時の戦争法規(ハーグ陸戦規則など)に照らして論じることができる。また韓国保護条約および併合条約の強制は、当時の慣習国際法から見ても不法・無効であると主張されている。

植民地支配下の犯罪

 植民地支配は植民地戦争の連続の上で成立している。植民地支配は軍事体制の恒久化といえる。支配のプロセスにおいて起きた加害内容としては、民衆虐殺(3.1運動弾圧、間島虐殺、関東大震災朝鮮人虐殺など)や独立運動弾圧、強制連行・強制労働、日本軍性奴隷、創氏改名、経済的略奪、文化財略奪などを挙げることができる。

継続する植民地主義に関する犯罪

 ここでは植民地責任の回避、在日朝鮮人に対する差別と迫害、植民地支配の美化、歴史の隠ぺいなどをあげることができる。また、南朝鮮における「親日」清算問題も含まれよう。これらは今も残る植民地支配の負の遺産というべきものであろう。

 そして重要な点は、これらの植民地主義を温存させることができたのは、米日による冷戦体制および「ならず者国家」や「破綻国家」に対する国際管理のレトリックで語られる新植民地主義の構築にその要因があるということである。このため朝鮮・東アジアにおける脱植民地化は脱冷戦・脱新植民地主義を不可欠とするのである。

 韓国強制併合100年を迎える今日、植民地責任・植民地犯罪を問い直そうとする運動が世界的な潮流となりつつある。朝鮮と日本の関係の場合、植民地支配の「不当性」を「道義」のレベルにとどめず、植民地化、植民地支配、継続する植民地主義(脱植民地化妨害)という一連の過程を視野に入れた植民地責任、植民地犯罪の概念としての定立が目指されているといえよう。(康成銀・朝鮮大学校図書館長)

[朝鮮新報 2010.7.23]