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「天安」号沈没事件 在米南朝鮮学者ら記者会見

新たな陣容で再調査を

 南朝鮮軍の哨戒艦「天安」号沈没の原因が「北の魚雷攻撃」によるものだとする合同調査団の調査結果(5月20日発表)に一貫して疑問を提示してきた李承憲・米バージニア大学教授(物理学)と徐載晶・米ジョンズ・ホプキンス大学准教授(国際政治学)が9日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見を行った。

 会見で両教授は、事件に対する独自の科学的検証と分析の結果を発表。合同調査団の調査結果には矛盾が多く信憑性が乏しいと述べ、南朝鮮当局に対して今回の調査結果に関連したデータをすべて公開し、新たなチームで再調査を実施するよう求めた。また国際社会が事実に基づく徹底した調査を南朝鮮に求める一方で、朝鮮半島の平和と安定実現のためのコミットメントを続けるべきだと主張した。

 この日の記者会見には100人を超す日本駐在の外国メディアの記者や日本メディアの記者が出席するなど、同事件に対する内外の関心の高さを示した。

データ捏造の可能性も

 合同調査団は▼「天安」号の沈没は艦体外部で起こった爆発によるものであり、▼その爆発は魚雷によるものであり、▼魚雷は北朝鮮のものであるという論理に基づいて、「天安」号は「北の魚雷攻撃」によって沈没したという結論を導いた。

 しかし徐准教授は、この3つの調査結果が科学的に実証されていないため、調査団の下した結論には信憑性がないと指摘した。

 徐准教授はとくに、調査団が公開した魚雷爆発時のバブルジェット効果のシミュレーションが「天安」号を真っぷたつに切断した実際の被害を説明していないこと、250sの爆薬が爆発した際のバブルジェット効果と衝撃波から予測される被害程度と、実際の艦体の破損状態は一致しないことを明らかにした。したがって現在まで発表されている内容の範囲内では、「天安」号の外部で魚雷爆発が起こったという結論を下すことはできないと述べた。

 一方、李教授は調査結果のもっとも重大な問題点の一つとして、調査団が艦体と魚雷から検出し、同じく水中爆破実験を通じても検出したという付着物質の「不一致」問題を挙げた。

 調査団は「付着物質」を、魚雷の外部爆発によって「天安」号が沈没したことを証明する「決定的な証拠」だとしている。魚雷から検出された白い化合物(アルミニウム付着物質)と艦体から発見されたものが一致し、実験によって生成された物質とも同一であるという主張だ。

 しかし、その後、調査団のX線分析では艦体と魚雷から発見された結晶質の付着物質と爆発実験で生成された非結晶質の付着物質の構造が一致しないことが判明した。調査団側は、このような「不一致」が自らの主張する魚雷爆発の決定的証拠になると強弁した。魚雷爆発直後に発生する高熱でアルミニウムが溶融し、海水で急冷却されると非結晶質のアルミニウム酸化物ができるが、このような現象が爆発実験では起きなかったため、アルミニウム酸化物は結晶質だったという説明だ。

 調査団側のこのような主張に対して、李教授は独自の実験に基づいて、魚雷爆発であれ実験での爆発であれ水中での爆発があったとすれば、アルミニウムおよびアルミニウム酸化物は結晶質で発見されなければならないという点を明らかにした。

 李教授は、魚雷と艦体から発見された白い化合物は爆発によって生成された化合物であることを示していない、調査団の分析結果から結晶質のアルミニウム酸化物が現れなかったという事実は調査団が提出した分析データが捏造された可能性を示していると指摘した。(相)

[朝鮮新報 2010.7.15]