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「高校無償化」 国連勧告をふまえた院内集会

 「高校実質無償化における朝鮮高校の取り扱いに関する勉強会」(呼びかけ=神奈川朝鮮学園を支える会、日本朝鮮学術教育交流協会)が15日、東京・永田町の衆議院第一議員会館で行われた。会は、12日に発表された国連子どもの権利委員会による日本政府への勧告事項を含む総括所見をふまえて開かれた。5月27〜28日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開催された日本の「子どもの権利条約」順守状況に関する審査の参加者、国会議員、東京・神奈川朝鮮中高級学校の生徒、保護者、日本の市民団体メンバーたちが参加した。国連子どもの権利委員会参加者たちが報告をし、朝鮮学校生徒と保護者たちがそれぞれ発言した。

活動が実を結び

朝鮮学校への「高校無償化」適用に関する勉強会の様子

 今回の総括所見には、▼民族的マイノリティに属する子ども、日本国籍を有していない子どもなどに対する社会的差別が根強く残っていることに対する懸念▼民族的マイノリティに属するこどもへの差別を生活のあらゆる分野で解消し、かつ、条約に基づいて提供されるすべてのサービスおよび援助に対し、平等にアクセスできることを確保するため、あらゆる必要な立法上の措置をとるよう促すなど、朝鮮学校を対象とした勧告事項が多く含まれている。

 会では、国連子どもの権利委員会に参加した金優綺さん(在日本朝鮮人人権協会)と、鄭順熙さん(神奈川中高オモニ会副会長)が報告を行った。

 金さんは、計9時間に及んだ審査の内容、勧告の一部内容について言及した。なかでも、各国委員たちからの質問に対する日本政府の欺まん的な回答に不快感を抱いたという。「たとえば、Korean school(コリアンスクール)と英語で言えば、朝鮮学校と韓国学校どちらも含まれるので、朝鮮学校も『無償化』が適用されていると思う委員たちもいた。そういう時は、休憩時にしっかりと解説をした。今回の勧告もそういう活動が実を結んだと思う」と述べた。

 鄭さんは、日本各地の朝鮮学校のオモニたちみんなの思いを持って参加した。オモニたちは、2004年(子どもの権利委員会にオモニ代表が参加)の経験からロビー活動の大切さを知っていたので、今回も協議を重ね、ロビー活動を活発に行ったという。「その結果、勧告に朝鮮学校を対象とした内容がたくさん反映されたと思う。大切な民族教育を守るため、子どもたちのためにがんばっていきたい」話した。

強いネットワーク構築を

集会では、生徒たちの思いが語られた

 つづいて朝高生たちが発言した。東京中高の金英載さん(高3)は、「無償化」実現に向けて各地の全朝高生たちによる連絡会を設け、朝鮮学校を知らせる宣伝活動や署名活動に一丸となり取り組んでいることについて言及した。「13日には学校で文化祭を行い、多くの日本市民たちに生徒の姿を通して、朝鮮学校をより近くに、もっと深く知ってもらおうと公開授業も取り入れた。今の現状をもって、これから私たち自身が何をできるかを話し合って動いていきたい」と語った。

 神奈川中高の金香伊さん(高2)は、「私は在日3世。時が経つにつれ、私たちの歴史的背景を知る人たちは少なくなっている。だからこそ、今、朝鮮学校の歴史や教育内容をしっかりと知ってもらいたい。そうすれば、民族教育の正当性がわかるはず」と訴えた。

 会には、社民党の吉泉秀男衆議院議員、民主党の瑞慶覧長敏衆議院議員、初鹿明博衆議院議員、斉藤つよし衆議院議員たちが参席した。

 そのほか、関係者たちの自由発言があった。子どもたちを朝鮮学校に送り30年になるという西東京朝鮮第2初級学校オモニ会の金知子会長は、「今、ここでつながっているネットワークをしっかり活用しなくては。また何か問題が浮上したときにゼロから始めるのではもったいない。ピンチをチャンスに、ずっと共に歩んでいける強いネットワークを構築しなければ」と呼びかけた。

 また、会では今月27日に東京・芝公園で行われる「朝鮮学校差別を許さない! 『高校無償化』即時適用を求める市民行動」(主催=「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会)への参加が呼びかけられた。(裕)

[朝鮮新報 2010.6.23]