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2010年統一運動の課題 同族対決阻止、北南関係改善がカギ

和解、協力推進で新たな局面

 6.15北南共同宣言発表10周年、高麗民主連邦共和国創立方案提示30周年を迎える今年、統一運動で大きな転機が生まれることが期待されている。北側は元日の3紙共同社説や6.15共同宣言実践北側委員会の総会(1月26日)で、2010年を「自主統一の新たな局面を開く年」「祖国統一の大門を開け放つための転換の年」にすべきだと呼びかけた。同総会で採択された「すべての朝鮮民族に送るアピール」などに基づいて、統一運動を取り巻く現在の情勢と今年の運動の課題についてまとめた。

南側当局を非難

6.15共同宣言発表10周年を迎える6月、2年ぶりの北と南、海外の三者による共同行事の開催に期待が集まっている(写真は08年6月、金剛山で開かれた記念行事)

 従来、北側は年の初めに政府、政党、社会団体代表による合同会議を開いて年間の統一運動について討議し、運動の課題や方向性を発表してきた。今年は、6.15北側委員会が主体となり、総会でのアピールという形式で立場表明を行った。

 2月1日と3日、祖国平和統一委員会が運営するインターネットサイト「わが民族同士」に、総会に出席した北側委員会の委員と同サイト記者との対談が掲載された。それによると、同委員はアピールを発表した背景として、「祖国統一運動の前に重大な難関がつくりだされた」ことを挙げている。

 同アピールは、「南朝鮮の反統一・保守勢力の反北対決騒動によって朝鮮半島に冷戦・対決の氷河期が到来した」と、南側当局を強いトーンで非難している。

 最近に限ってみても、今年初めには、統一部や国家情報院などが昨年末までに北側の体制崩壊を念頭に置いた「非常統治計画―復興」を秘密裏に策定したことがメディアを通じて明るみに出た。

 また1月20日、金泰栄国防部長官が北側に対する「先制攻撃」の可能性に言及するなど、南側の軍事的挑発と体制対決騒動が危険な段階に至っている。

 一方、南朝鮮内部では統一運動勢力に対する弾圧が続き、民間団体の接触と交流も遮断されている。

 「統一か分裂か、平和か戦争か、という歴史の分岐点に立っている」

 アピールに表れた北側の情勢認識はかつてないほどシビアなものだ。

 北側は「南朝鮮の好戦勢力が追求している対決は北南関係の極限点」であり、「それは戦争を意味する」という認識を示している。戦争は「民族の前に迫っている当面の現実的脅威」であり、現在の事態に対して、民族の構成員であれば誰も傍観者ではいられず、このような状況をこれ以上放置することは許されないという強い意志の表れと見ることができる。

 今回のアピールで最も注目される点は、統一問題を2012年と関連づけたことだろう。

 北側は金日成主席生誕100年にあたる2012年を「強盛大国の大門を開く」年として特別な意義を付与している。

 同アピールは21世紀を「祖国統一の世紀、わが民族が強盛復興する栄光の世紀」であると指摘し、「2012年はその分水嶺である」と主張した。そのうえで北、南、海外の全同胞に向けて、10.4宣言発表5周年に当たる2012年を「自主統一と平和・繁栄の一大里程標」にしようと呼びかけた。

6月に共同行事

 今回、北側は統一運動における当面の課題として、「南側当局の同族対決策動を阻止・破たんさせ、北南関係を改善すること」を挙げた。

 李明博政権の「非核・開放・3000」政策や「体制統一論」などは、北南共同宣言の精神とは相容れない。南側当局が北南共同宣言を否定し、外国勢力との結託、反北対決政策を追求し続けるならば北南関係の改善は不可能だ。対決と緊張激化ではなく、6.15と10.4という2つの北南共同宣言を重んじ、対話と関係改善の道に踏み出すことが求められている。

 民族の和解と団結、協力を積極的に推し進めていくことも課題の一つだ。

 北側委員会のアピールは、金剛山観光と開城観光の再開も含めて北南間の各階層の往来と接触、多方面にわたる協力を活性化すべき必要性を強調している。さらには、南朝鮮の「保安法」など同族間の往来と接触を妨げる法的、制度的装置の撤廃に向けた取り組みにも言及した。

 和解と団結、協力を推し進めることは、今年の3紙共同社説も主張する「自由な統一論議と活動を保障する」ための前提条件になる。

 米軍の南朝鮮駐留65年、日本による「韓国併合」100年に当たる今年、南朝鮮内部での自主、民主闘争を展開することも課題だろう。

 6.15民族共同委員会は昨年12月の会議で、6.15共同宣言発表10周年を北、南、海外の3者共同行事で盛大に祝うことを決めた。北側委員会も今回のアピールを通じて、「民族の団結と統一を願う北と南、海外のすべての政党、団体と各階層の人士が参加する民族共同の行事を盛大に開催することを提案」した。

 今後、共同行事の開催に向けた活動が本格化する見通しだ。李明博政権は統一運動団体や人士の訪北を選択的に制限する措置を講じている。共同行事に対する姿勢は南朝鮮当局の政策転換の度合いをはかるバロメーターの一つになるだろう。(李相英記者)

[朝鮮新報 2010.2.5]