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対決姿勢示す「復興計画」 昨年末 統一部と国情院が作成

 南朝鮮の対北関係を扱う統一部と情報機関の国家情報院(国情院)が中心となって作成したとされる、北の「急変事態」に備えた「非常統治計画−復興」は強い反発を招いている。朝鮮民主主義人民共和国国防委員会は15日、スポークスマン声明を発表し、「報復聖戦」を開始すると宣言した。「平和と統一を開く人々」(ピョントンサ)など、南の民間団体からも抗議が相次いでいる。この「非常統治計画―復興」とは何か、問題点について見た。

文化日報の報道

 「非常統治計画−復興」について初めて報じたのは南朝鮮紙の文化日報13日付だった。

 「コード名は復興、北急変事態支援計画作った−昨年末、統一部と国情院など参与」と題する記事は、政府消息筋の話として、昨年の秋から年末までの期間に統一部と情報院が中心となって極秘裏に計画を策定したことを明らかにした。これには、国家安保戦略研究所、統一研究院などの国策研究機関までも動員されたという。

 記事は、「計画は事案の敏感性から機密に該当するため正確な内容は公開されていない」と前置きしつつも、その内容を記している。

 記事によるとこの計画は、過去に統一部が作成した「忠武計画」と類似し、多様なシナリオをあげてこれに従った対応策を整理したものだという。金泳三政権時代に作成された「忠武計画」は、北の「崩壊」を想定し、「自由化行政本部」の設置、北の難民20万人の江原道地域への収容などの計画を定めた。

 今回の計画では、「急変事態」の類型を「事故型」「クーデター型」「住民暴動型」などに区分し、さらに類型別の具体的なシナリオと対応策を示しているという。記事は、「急変事態」に対処する自らの「行政上の措置」まで施行するという内容が含まれていると推測している。また、計画名が「復興」ということから、具体的な北の経済開発戦略が含まれている可能性が大きいと推測している。李明博政権が掲げた対北政策が「非核、開放、3000」(北の「核の完全放棄」を最優先課題として解決し、北を「改革・開放」させた後、10年以内に北の1人当たりの所得を3000ドルに引き上げるというもの)だということを根拠にあげている。

 国防委員会スポークスマン声明が指摘するように、この計画は「挑発的」である。現実的には起こりえない「急変事態」のシナリオを意図的に「助長、極大化」させて北を崩壊させようとする意図を示し、そして体制転覆の内容が具体化されている以上、問題視せざるをえない。

変わらぬ路線

 南朝鮮軍部と米軍は2008年夏以降、北の「急変事態」に備えた「作戦計画5029」を補充、完成させ、それに基づいた合同軍事演習も実施した。つまり、「作戦計画5029」は南・米連合による北の体制転覆シナリオだ。今回の「非常統治計画−復興」は、北の転覆を図る南当局が主導して作成した計画だ。

 「自由民主主義体制下の統一が最終目標」(08年11月)という大統領発言が象徴するように、李明博政権が金泳三文民独裁時代の「吸収統一」路線への復帰を目指したのは周知の事実だ。

 今回明らかにされた「非常統治計画−復興」作成の事実は、南当局が主張してきた「南北関係の改善」「対話再開」などはき弁にすぎず、いまだに北との対決姿勢を取っていることを物語っている。

 一方、南当局は弁明に追われている。

 統一部は15日、北が「報復聖戦」を開始すると言及したことに対し、「遺憾」を表明した。しかし、「非常統治計画−復興」の存在については、「確認できない」とする立場を取り、18日には「記事の内容は事実と違う」と弁明した。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2010.1.22]