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2010年対外政策の方向性 朝米関係、平和問題に重点

 今年、朝米関係をはじめとする対外政策では例年にも増して大きな変化が起こることが予想される。元日の3紙共同社説や、国内各紙の論評、論説などに基づいて、対米関係を中心に今年の朝鮮対外政策の方向性について見た。

諸国間の関係発展を

昨年12月、米国のボスワース朝鮮政策特別代表の訪朝時、朝米双方は平和協定締結など幅広い問題を議論した [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 3紙共同社説は対外政策の分野で、朝鮮労働党と政府が「自主、平和、親善の旗を高く掲げ、諸国間の善隣友好関係を発展させ、世界の自主化をめざして力強くたたかう」という立場を強調した。

 このフレーズは朝鮮の対外政策における基本理念と行動原則を示すもので、共同社説中に毎年登場している。自主性と国際的正義の原則に基づいて、朝鮮と友好的に接する国々と親善関係を結び、それを発展させるという姿勢だ。過去に敵対関係にあった国でも、敵視政策を捨てて朝鮮を尊重するなら、関係を改善し正常化するという立場は終始一貫している。

 朝鮮の対外政策を分析するうえで、自主は重要なキーワードだ。自主は朝鮮のあらゆる分野で貫徹されている理念だが、国家間関係を含めた対外政策においても例外ではない。

 メディアの論調も自主の原則を強調している。

 労働新聞7日付の論説は、「われわれは誰かの目を気にしてやるべきことをやらなかったり、やりたくないことをやることは決してない」と指摘し、朝鮮が「自国に対する自主権侵害と内政干渉を許さず、他国の自主権を侵害する行為もしない」と明言した。

 昨年、中国をはじめとするアジア、アフリカ、中南米などの友好国との交流、協力が活発に行われた。また、EU諸国とも積極的な外交を展開した。今年も政治、経済、文化などさまざまな分野で対外関係拡大にまい進するとみられる。

 一方、年初に表明されたこれらの立場は米国や日本などにも向けられている。敵視政策を是正し、自主権を尊重する方向にシフトすれば、関係改善の可能性は大いに開かれていると言えるだろう。

根本問題解決に着手

 朝鮮の対外政策における目下最大の課題は、核問題を含めた対米関係だ。今年の3紙共同社説も、「朝鮮半島と地域の平和と安定を保障するうえでの根本問題は、朝米間の敵対関係を終息させることである。対話と協商によって朝鮮半島の恒久平和体制を築き、非核化を実現しようとするのはわれわれの一貫した立場である」と指摘した。

 共同社説で対話を通じた核問題解決を呼びかけたのは04年以来のこと。朝鮮の積極的な姿勢の背景には昨年12月のボズワース訪朝にいたる一連の流れがあるとみられる。例年の表現と比べても、今年の社説からは核問題解決、朝米関係改善への強い意志が読み取れる。

 朝米関係では今年、平和問題が最大の焦点になる。

 朝鮮外務省は11日、声明を発表し、朝鮮戦争勃発60年になる今年、停戦協定を平和協定に替えるための会談を速やかに始めることを停戦協定の各当事国に提案した。

 現時点で平和協定締結問題を重視する理由は何か。

 民主朝鮮紙16日付に掲載された論評は、「朝米関係の全過程に対する総括に基づき、一つの明白な結論に達した」ためだとしている。同論評はその結論について、「米国が朝鮮に対する敵意を抱いているかぎり、朝米関係問題は解決されない」と指摘した。「朝鮮半島核問題解決のための6者会談が挫折と失敗を繰り返しているのは、問題の直接的当事者である米国が朝鮮に対する敵意を解消していないことからくる必然的結果」との見解だ。

 「朝米間に信頼関係が醸成されてこそ、問題解決がスムーズに進む」というのが、朝鮮が非核化プロセスを再び前進させるための措置として、当事者である朝米の信頼醸成を優先順位に置いた理由だ。

 そして、信頼関係醸成において「朝鮮戦争停戦協定を平和協定に転換することよりも効果的で建設的な代案はない」(民主朝鮮論評)と結論づけている。

 一方、平和問題重視という方向性を国内要因の面から見ると、強盛大国建設との関連が浮かび上がる。労働新聞7日付論説は、「強盛大国建設は平和的な環境を求めている。国のすべての潜在力を経済建設に回して飛躍的な発展を実現するのにもっとも切実なのは平和的環境である」としている。

 戦争のない平和な環境の下で社会主義強盛大国建設をいっそう力強く推し進めていく。そのために先軍を掲げて国防力強化を図りながら、朝鮮半島平和体制構築に向けた外交を進めていくというのが朝鮮の描く強盛大国建設プランだ。

 根源的問題の解決によって「朝米敵対関係清算の決定的な突破口」を開く必要性を強調していることからも、朝鮮は今年、この問題で攻勢をかけることが予想される。労働新聞7日付論説も、「われわれはほかの誰よりも平和に対して切実な利害関係を持っている」と吐露するなど、朝鮮側の意気込みは強い。(李相英記者)

[朝鮮新報 2010.1.20]