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〈2010朝鮮経済〉 自国の原料、燃料による 量産システム完成

「強盛大国建設は確定的」

 朝鮮国内のメディアは激動の今年を振り返り、人民生活に直結する軽工業分野での増産など、これまでとは根本的に異なる大きな革新と全面的な飛躍が起きたとしながら、「強盛大国の建設が確定的であるということをあらためて力強く宣言した2010年」(労働新聞8日付)、「先軍朝鮮の不敗の威力が全世界に力強く誇示された意義深い年」(6日発朝鮮中央通信)だと指摘した。

自立経済の近代化

16年ぶりに操業を再開した2.8ビナロン連合企業所の外観と生産されたビナロン

 朝鮮では近年、強盛大国建設において残った課題は経済建設だとしながら、経済部門に大きな力を注いできた。

 「祖国の歴史に末永く輝く変革が起きた年」(今年の共同社説)と言われた昨年は、その成果が目に見えるようになり、経済全般は本格的な上昇段階に入った。

 今年は昨年のその土台と潜在力に基づき、さらなる飛躍を果たした。

 その象徴がチュチェ鉄、チュチェ肥料、チュチェ繊維である。

 鉄や肥料の単語の前についている「チュチェ」とは、輸入に頼らず自国の原料、燃料で作られたという意味が含まれている。

 昨年、城津製鋼連合企業所でチュチェ鉄生産システムが完成されたのに続き、今年は国内最大の製鉄所である金策製鉄連合企業所が非コークス製鉄法を完成させた。国内に大量に埋蔵されている褐炭や無煙炭を100%利用する生産システムを確立したのだ。これは自立経済の近代化が、新たな段階に入ったことを示す出来事だった。

 一方、黄海製鉄連合企業所には100トン超高電力電気炉が導入され、千里馬製鋼連合企業所でも08年に続き2基目となる超高電力電気炉が竣工し、鉄鋼を増産している。

 2月には「全国的な大慶事」が起きた。16年もの間、生産がストップしていた2.8ビナロン連合企業所の近代化が完了し、朝鮮に豊富に埋蔵されている石灰石と無煙炭で「チュチェ繊維」であるビナロンを大量生産できるシステムが整った。その後、各地の紡織工場ではビナロンによる織物製品の生産に入った。ビナロンの生産過程には苛性ソーダ、塩化ビニールなど400余種の中間製品が生まれ、原材料を輸入に依存していた他の軽工業部門を立て直すことにも大きく貢献している。

 また、南興青年化学連合企業所では大規模な無煙炭ガス化工程が新たに設けられ、各農場で用いる化学肥料を、原料および燃料の輸入なしに安定的に生産できるシステムが整った。もう一つの肥料生産工場である興南肥料連合企業所で進められている近代化工事が完了すれば、国内の需要は基本的に満たされることになる。

 電力問題の解決でも進展があった。各地に中小型発電所が建てられ、2012年を完成目標にする熙川発電所の建設が力強く推し進められている。

 軽水炉建設も活発だ。朝鮮は去年4月、外務省声明などを通じて、軽水炉の建設に着手すると宣言した。軽水炉発電所のために用いられるウランは、朝鮮には豊富にある。去年濃縮実験に成功し、現在数千台規模の遠心分離機を備えた近代的なウラン濃縮工場が稼働している。

各道に「三日浦」

生産能力を拡張した平壌穀産工場

 新年の共同社説は今年を「大高揚の誇らしい勝利と成果に基づいて人民生活の向上に全党的、全国家的な力を集中すべき総攻勢の年」と規定し、再び軽工業と農業に拍車をかけ、人民生活の向上で決定的な転換をはかることを課題として示した。

 金正日総書記が昨年4月、平壌にある三日浦特産物工場を現地指導した時からわずか1年の間に、各道に、地方の原料で食品を加工生産する「三日浦」式総合食料工場が建設された。ここでは菓子類、漬物類、各種飲料などが自動生産ラインで作られている。

 2.8ビナロン連合企業所で作られる繊維製品を用いてさまざまな布地を生産する咸興毛紡織工場、良質でデザインも多彩な製品を量産できる平壌靴下工場など、生活必需品を生産する工場が新たに建設、リニューアルされた。軽工業および食料日用部門での建設と近代化は、全国の工場で行われた。

 人民はこれらの成果を実感しており、生活にも変化が起きた。

 平壌市民は11月にオープンした玉流館の専門食堂でチョウザメ、スッポンなどの高級料理を楽しみ、さまざまなアトラクションが設置された凱旋青年公園(遊園地)は真夜まで営業してきた。

厳しい情勢下で

 「苦難の行軍」と呼ばれる90年代、原料、燃料の不足が深刻な問題として提起された。旧ソ連と東欧社会主義国の崩壊で、従来の輸出入のルートがなくなってしまったのだ。

 現在は、国内に豊富な原料と燃料で鉄、肥料などを生産できるシステムが整った。経済危機が世界を襲っても、また、敵対国が制裁を加えたとしても、強盛大国の建設を力強く進めていくというのが朝鮮人民の覚悟である。

 今年の経済活動は、緊迫した情勢の下で行われた。

 南朝鮮当局は今年3月に「天安」号沈没という謀略事件をねつ造し、11月には朝鮮西海の延坪島一帯で北側領海に向けた砲撃を加える軍事的挑発を起こした。米国は、南朝鮮軍と北侵合同軍事演習を幾度も行い、朝鮮半島情勢を戦争の瀬戸際まで追いやった。

 朝鮮人民は、朝鮮労働党創建65周年と党代表者会を輝かしい成果で迎えようという党のスローガンに応え、指導者を中心に固く団結して、経済建設に立ちあがった。

 歴史的な党代表者会(9月28日)は金正日総書記を朝鮮労働党総書記として再度推戴し、閲兵式など党創建(10月10日)65周年慶祝行事は一致団結の姿を内外に誇示した。国内の多くの経済単位が、年間計画の超過達成という成果で党創建日を迎えた。(姜イルク)

[朝鮮新報 2010.12.17]