延坪島砲撃事件 祖平統書記局が詳報 「意図的に軍事対応を誘導」 |
祖国平和統一委員会(祖平統)書記局は8日、「米国と南朝鮮好戦勢力は延坪島砲撃事件の責任から絶対に免れられない」と題する詳報を発表した。詳報は、「事件の直接的な動機と過程、根源と背景を見ると、米国と南朝鮮好戦勢力によって事前に綿密に組まれ意図的に敢行された、もう一つの厳重な反朝鮮軍事的挑発」だと規定し、詳報発表の目的について「事件の真相と本質を明らかにして挑発者と張本人が誰であるかを内外に正確に知らせるため」だと指摘した。 詳報は3つの体系から成っている。 1つ目の体系では、南朝鮮軍がデリケートな紛争地域である朝鮮西海の延坪島一帯で軍事訓練を繰り広げ、北の領海に砲撃を加えたことで事件が発生したことについて記述している。 詳報によると、南朝鮮軍はこの水域で11月22日から「護国」訓練を行っていた。これに対して朝鮮人民軍は翌日の午前、数回にわたって通知文を送り、ただちに中止するよう警告した。 これに対して南朝鮮軍は、13時頃から延坪島一帯の北側領海に砲撃を加える軍事的挑発で応えた。 延坪島は、北が主張する海上境界線から北の領海に深く入りこんでいる地理的特性から、ここで砲撃すれば、どの方向に撃とうが砲弾は北の領海内に落ちることになっている。 詳報は、「照準射撃区域をわざと北側領海に設定し、数千発の砲撃を加えた南朝鮮軍の分別ない行為は、明らかにわれわれの軍事的対応を誘導するための意図的な挑発だった」と強調しながら、「領海に敵の砲弾が落ちるのを黙って見ている軍隊が世界のどこにいるのか」と反問した。 そして、朝鮮人民軍の軍事的対応は、「正当な自衛権の行使であり、侵略者、挑発者に対する当然の懲罰」だと強調した。 一方、南当局が騒いでいる「民間人被害」については、「自らの残虐性と挑発者の正体を覆い隠すためのき弁にすぎない」と一蹴。「軍事施設と民間人の村を一体化し、基地内に民間人を引き入れて人質にしながら、われわれの軍事的対応を逃れようとした」と指摘した。 2つ目の体系では、今回の事件が保守政権の悪らつな同族対決と戦争策動の必然的産物であることについて記述している。 詳報は、保守勢力が執権したときから6.15共同宣言と10.4宣言を全面否定しながら、北南関係を破局に追い込み、金剛山観光再開や離散家族再会など関係改善のための北の努力を踏みにじったことについて言及した。 そして、「反北対決政策と戦争策動が内外世論の糾弾にさらされ、破産を免れられなくなると、延坪島砲撃事件のような特大型の衝撃的な事件を起こすことで最後のあがきをした」と批判した。 3つ目の体系では、南朝鮮軍を軍事的挑発へと操った張本人が米国であることについて記述している。 詳報は、「今回の事件は、米国が引いた『北方限界線』(NLL)が火種となって起きた」と主張しながら、NLLが朝鮮戦争停戦協定締結直後の1953年8月30日に一方的に引かれた事実や、NLLのせいで停戦直後から西海で軍事衝突や紛争が絶えなかったことについて指摘した。そして、米国が10.4宣言に示された「西海平和協力特別地帯」の創設に反対し、南の好戦勢力とともにNLLを既成事実化させようと策動してきたと非難した。 詳報は、「天安」号沈没事件のときもそうだったように、今回の砲撃事件でも得をしたのは米国だと指摘。「天安」号事件で、戦時作戦権返還延期、「自由貿易協定」(FTA)の再協議、アフガニスタンへの追加派兵、対イラン制裁への参加、そして日本の普天間基地問題で利益をあげた米国は、今回の事件を通じても、朝鮮西海で空母参加の合同演習を実現し、南に戦争装備を売りつけ、FTA再協議で大幅な譲歩を得るなどの「一挙多得」の効果を得たと指摘した。 教訓は宣言の履行 詳報は、「延坪島砲撃事件は、北南間の武力による紛争とこんにちの尖鋭な情勢を打開する唯一の方法は6.15と10.4を履行する道しかないということを深刻な教訓として示している」と強調。両宣言が履行されていたなら、延坪島砲撃事件のような不幸な出来事もなかったと指摘した。そして、「わが民族がいつまでも米国と南保守勢力の対決、戦争策動の犠牲になってはならない」としながら、全民族に、内外の反統一勢力の対決戦争策動を反対するたたかいを繰り広げることを呼びかけた。 とくに、「朝鮮半島で戦争が起これば誰よりも大きな被害を受けるのは南の人民だ」としながら、戦争につながる米国と南政権の軍事的挑発策動、北侵戦争騒動を断固として糾弾排撃しなければならないと、各界各層に呼びかけた。(姜) [朝鮮新報 2010.12.13] |