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金剛山で北南離散家族再会 「共同宣言の全面履行を」

 09年9月以来、13カ月ぶりとなる離散家族・親せきの再会事業が金剛山で10月30日〜11月5日行われた。北と南の計191家族、830人が再会を果たした。

60年ぶりに母と

再会を果たした母キム・イェジョンさん(左から3番目)と娘ウ・ジョンヘさん(同4番目)

 黄海南道延安郡直売店支配人であるウ・ジョンヘさん(71)は、母キム・イェジョンさん(96)、兄ウ・ジョンシクさん(73)らと60年ぶりに再会した。母は南側面会者の中で最高齢である。

 母と娘はかたく抱き合い、再会の喜びを分かち合った。

 母は、心配の毎日だった、このように再会できる日のために生きてきたと涙ながらに話した。

 朝鮮戦争当時、ソウル市に住んでいたウさんは11歳の時に9歳だった妹と一緒に朝鮮人民軍の部隊について北側に向かった。父は投獄され、母、兄ともに戦火による負傷で歩くことができず南に残った。姉妹だけが遠い親せきが住む黄海北道鳳山郡に送られることになったという。しかし高齢の親せきはすぐに亡くなってしまった。

 その直後から、北の里人民委員会が姉妹を引き取って育ててくれた。大学まで卒業したウさんは、延安郡の銀行で働き、1989年から現職に就いている。

 ウさんが母に、国が自分にとっては母だったと話すと、母は「私に代わって育ててくれた方々に感謝したい」と語った。

北の提案で実現

 再会初日の歓迎宴で演説した朝鮮赤十字会の崔成益副委員長は、今回の再会事業が「『わが民族同士』の基本精神に沿って北南関係を改善し、民族の和解と団結、統一を必ず成し遂げようというわれわれの確固とした意志と誠意ある努力によって実現」したと強調した。

 北側は今年9月、南当局の反北対決政策によって朝鮮半島情勢が緊迫した状況だったにもかかわらず、離散家族の再会事業と人道分野での協力を提案した。

 一方、南側は再会事業の「定例化」について述べてはいるものの、再会事業正常化に欠かせない金剛山面会所の運営や金剛山観光再開問題などに消極的な態度を取り続けている。これを議論する当局会談を開催しようという北の提案にも応じていない。

 今回の再会事業の開催は、北南共同宣言を履行し、6.15共同宣言発表10周年となる今年を自主統一の新たな局面を切り開く年にしようとする北側の確固たる意志の表れだと言える。

 実際に北側は北南共同宣言の履行に向けて忍耐強い努力を傾けている。

 北側関係者の話によると、10月末の北南赤十字会談で北が再会事業の正常化を提案したのも、人道問題解決への取り組みを突破口に北南共同宣言の全面履行へと向かわせるためだったという。

 今回再会を果たした家族らも、北南関係改善の必要性を認識していた。

 母と再会したウさんは、「6.15共同宣言と10.4宣言が母と再会させてくれた」としながら、「親子が連絡も取れないまま離れながら暮らさなければならない悲劇を終わらせるためには、わが民族同士で力を合わせ祖国を一日も早く統一すべきだ」と話した。【平壌支局】

[朝鮮新報 2010.11.8]